『キズナのマーケティング』を斬る!(前)

ソーシャルメディアマーケティングを扱った書籍として、現在かなり売れている『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)の書評です。 ※なお、「斬る!」は、所属会社(Z会)が入試分析などを行うときに「東大入試を斬る!」という言い方をし、それに似た形の書評になりそうだったので、合わせてみました。

出版パーティーに光栄ながら呼ばれており、そのときに交流させていただいた編集者の方が、僕が「書評書けなくて困っている…」と書いたブログを御覧になったようで、メールでご連絡を頂戴しました。

「ソーシャルメディア・マーケティングを理解されている方からしたら、なーんも新しい発見なし!と感じられるのは当然だと思っています。
理解されているからこそ、本に登場していただいたということもあります。」
※「 」内が引用です。

そうなのかもしれません。確かに本質的な「理解」はしているのかもしれません。
ただ僕は、応用が欲しい。そして、応用を求めるときに一番大切なことが、本書では抜け落ちているような気がするのです。

長くなって申し訳ないですが、僕がwebの広告宣伝をやるキッカケになった出来事を書かせていただきます。

2001年、僕はZ会の通信教育部門で、高校数学の教材編集が担当でした。そして悩んでいました。欲していました。

「会員(受講生)の声が聞きたい…」

と。

添削問題には「答案感想欄」というスペースがあり、感想欄に寄せられた会員の声の一部は、コピーされて編集者にも届くようになっています。
しかし「答案感想欄」を通じて、(心理的に)書ける事は限られています。
そしていわゆる「リアル」な声ではありません。

「リアル」な声を聞きたかったんです。時間という意味でも「リアル」、生(ナマ)という意味でも「リアル」な。
予備校や塾などの「場」の教育では、どうしても伝達範囲が「目の前の人」に限られている、「場」に依存しない教育をしたい!と、通信教育の世界に飛び込んだデメリット、「リアル」ではなくなる、という部分に苦しんでいました(分かってはいたものの。苦笑)。

そこで出てきたインターネット。そして、ADSLの普及で、本当の意味で「(ツールとしての)身近感」が出たのがこの頃でした。
そこで僕が考えたこと。

「インターネットを通じて、生の声を聞く仕組みを作りたい」
「そうだよね、メールでやり取りすりゃいいじゃん」
「でも、どうやってメールアドレスを聞くんだ?」
「メールアドレス分かっても、こっちが聞きたいことばかり聞かれるとうざいよね」

そんなわけで

学習のためになるメールマガジンを発刊する → 購読者にアンケートをとる

という流れを考えたのでした。
考えた、とは正直大袈裟で…「メールでお客さんとやり取りしたい」と思ってから、発想自体は多分数分しかかかっていません。
(そのときの仕事と並列して)やれるかどうか、は別にして、発想自体は人であれば極々当たりまえ、誰でもできる発想だと思っていました。

次のページそんなもの見るかいっ。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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