京都企業、強さの秘密

2007.09.25

仕事術

京都企業、強さの秘密

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

京セラ、オムロン、ローム、日本電産。先端産業のコアパーツとなる電子 部品メーカー大手では京セラがトップ、二番手以降にも京都企業がなと連 ねる。他にも任天堂やワコールなどユニークな高収益企業が多い。なぜ、 京都企業には独特な強さがあるのだろうか。

京都企業をヒト,モノ、カネ、情報で見ていくとその強さの秘密が見えて
くる。強いのはヒト、情報そしてカネの三つだ。まずヒトについては、二
つの要因が考えられる。一つは伝統工芸の職人や技術者が多くいたこと、
もう一つは大学生が多いことだ。

工芸職人の技術が役立ったケースとしてもっとも有名なのが、清水焼の土
の配合技術を活用した京セラ。他にも島津製作所や堀場製作所などが京仏
壇の技術の恩恵を受けている(具体的には薄膜やメッキなどの微細な表面
処理技術に仏壇の加工技術が活かされている)。ビジネスになるアイデア
を思いつくことができれば、実用化するための技術を持った人間が京都に
はいた。これが伝統の強みである。

また京都市では大学生が人口の約10%を占めている。この比率は全国で
もトップだ(ちなみに東京が23区で約6%、大阪に至ってはわずか2%
に満たない)。その大学の中でも京大は特に産学連携に積極的なことで知
られる。たとえば村田製作所は新事業スタートにあたって京大工学部の協
力を得ているし、京大には「京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリ
ー」と呼ばれる起業家の育成支援組織も大学内にある。

実際京大発のベンチャーとしては、早々と上場したドリコム、上場を期待
されているゆめみ、上場を目指してはいないが着実に成長している「変な
会社」はてながある。いずれもIT系の実力派企業といえるだろう。京都に
はアイデアを創りだすヒトがいて、さらにそのアイデアをカタチにできる
技術を持ったヒトがいたというわけだ。

では、モノ、カネ、情報はどうなのか。

資源という意味でみれば京都にはモノはない。インフラ面でも港は舞鶴ま
で行かなければならないし、空港は伊丹か関空か中部である。決して恵ま
れているとはいえない。あえていうなら新幹線が止まることがせめてもの
救いといえるぐらいか。ともかくモノについて京都は恵まれていたとはい
えないだろう。

カネについては微妙である。少なくとも今に名だたる京都企業の創業時に
行政からのカネは出ていない。なにしろ京都は1950年から78年まで
の長きに渡って蜷川知事が共産党主導による革新府政を行なってきたのだ。
共産主義では資本家は労働者を搾取する存在、すなわち敵に等しいものと
して見なされる。その資本家たちが経営する私企業を蜷川知事が応援する
ことはついぞなかった。

しかしカネについてあえて微妙であると書いたのは京都には特有の歴史資
産もあるからだ。すなわち京都は歴史が長いだけあってお金を持っている
住民が結構いる。彼らは、お上が金を出してくれないなら、自分たちでな
んとかしようという気概を持っている。たとえば日本で最初の小学校は京
都の上京第二十七番組小学校だが、これは住民たちがお金を出し合って作
った学校だ。

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