不正支出を防いで業務を進化させよう

2009.10.17

経営・マネジメント

不正支出を防いで業務を進化させよう

野町 直弘
調達購買コンサルタント

最近公共セクターを中心に不正支出、不正経理の問題が相次いでいます。民間でも不正支出や不正経理は明るみになっていないだけで頻繁に起こっている可能性は低くありません。 不正支出は企業団体の内部だけの話でなく、ブランド力や株主リスク、企業収益にまで影響を与えるようになっています。

但し、業務委託や委任契約、顧問契約等のサービスについては
「受入検収」を要求元、つまり予算執行者が行うケースが多いです。
これは材の性質上第三者が検査を行うことが難しいためであり、
このような費目での不正支出を防ぐのは容易ではありません。
代替的に「受入検収」を複数の人が承認するようにしている企業も少なくありません。

二点目の「適正なプロセスの整備」ですが、
これは上記の五権分立を担保できるプロセスを明確化し、
それをルールとして適用させることです。
皆さん一度はプロセスフローというものをご覧になったことがあるとは思いますが、
ISOやそれ以外の購買規定などで周知徹底させることが必要です。
プロセス整備をする上で重要なのは「適正な」という言葉であり、
品目別や金額基準等を設けて厳しく管理するプロセスと
そうでないプロセスを用意しておく必要があります。

上で取り上げた2つの「仕組み」つくりにおけるポイントは
何も不正支出を防ぐためだけのものではありません。
役割権限を分権化し、それぞれが責任を持って最適化を図る、
また購買・調達部門は要求元の支出の必要性や、
設計部門の仕様決定についてもコミュニケーションをとりながら最適化を図る、
このような姿は「購買業務のあるべき姿」そのものなのです。
つまり、五権分立は何も内部統制や購買管理、不正支出防止のためだけの
取組みではないことが理解してもらえたのではないかと思います。

要するにタイトルの
「不正支出を防いで購買業務を進化させよう」につながるのです。

冒頭で千葉県の不正経理の問題についても取り上げました。
詳細がまだ公開されていないのではっきりしたことは言えませんが、
このケースでは、分権化していても不正経理は防げないと思われます。

何故なら、五権を分立しても役割・権限を持っている人が機能せずに結託した結果、
こういう事件が起きているからです。
そう考えると「監査」「仕組み」に加えて「人間」も
不正を防止するための大きな要素なんでしょうね。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

フォロー フォローして野町 直弘の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。