‘グランブルー’に魅せられた人たち・・・「アプネア」の世界

2009.09.24

ライフ・ソーシャル

‘グランブルー’に魅せられた人たち・・・「アプネア」の世界

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

海底を目指して深く潜行・・・ 太陽の光が射し込む海の色は、 グラデーションを描いて変わっていく。 ライトブルー ~ ディープブルー ~ ダークブルー ~ グランブルー その先にあるのは、漆黒の闇。

しかし、本番となると、
よけいな邪念、緊張や力みがどうしても
出るため、脳の酸素消費量が増えてしまい、
練習と同じタイムを出すことはなかなか
難しいのだそうです。

これは、コンスタント、ダイナミックでも同様。

いかに心を平静に保てるかが、
自分の限界を超えた深みに到達するための
決め手なのです。

ジャックマイヨール氏も、
ヨガや禅に学んだ瞑想を行い、
自分は

「イルカ」

であると、心から感じられるような
心境になるまで潜水を開始しなかったのです。

ところで、なぜ陸地に生活してきた私たちが、
10分近くも息を止め、水中深く潜れるのでしょうか?

イルカやアザラシのような海洋哺乳類の能力には
及びませんが、ヒトもまた、水中では心拍数を
低下させたり、手足などに流れる血液を止め、
脳などの生命維持に重要な臓器に血液を集中させる

「ブラッドシフト」

という現象が人間にも起こっていることが
わかっています。

要するに、酸素の乏しい水素において、
酸素を節約し、効率的に使う能力が、
人間にもある程度備わっているのですね。

だからこそ、逆に、心の平静が保てないと、
脳の活動が活発になりすぎ、酸素を消耗してしまい、
長く、また深く潜れなくなるということなんでしょう。

それにしても・・・

なぜ篠宮さん始めとするフリーダイバーたちは、
なぜ、ボンベなしで到達できる限界深度と思われる
グランブルーの世界を目指すのでしょうか?

登山家と同じなのかもしれませんね。

登山家は、「高み」をめざし、
フリーダイバーは「深み」を目指す。

そこには単に記録作りを超えたものがあります。

著名な登山家、ラインホルト・メスナー氏と
同じ気持ちがあるのかもしれません。

“自分という有限の肉体、ハダカの肉体を試し、
どれだけ命の可能性を拡げられるかを確認したかったのです。”

(ラインホルト・メスナー)

余談ですが、ヒトは、

サバンナ(高原)

ではなく、

海辺

で進化したという説があります。

この説によれば、簡単に言うと、
ヒトは、両生類のように、水中と陸上を
行き来しながら生活をしていたというものです。

サルから枝分かれし、
木から降りて森林から出たものの、
他の動物よりも身体能力の劣るヒトの祖先は
簡単に肉食獣の餌食となりました。

しかし、食糧も豊富、そして比較的安全な海辺で
生活すれば生存できる可能性が高くなる。

だから、ヒトは海辺で暮らすようになった。

サルの仲間のうち、
ヒトだけが体毛がほとんどないのは、
水に浸って暮らしていたからだというのです。

(水は相対的に温かいので体毛は不要)

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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