朝青龍の問題が連日報道されている。一連の報道を通して浮彫になるのは、日本相撲協会や高砂部屋と朝青龍の関係だけではない。そこには、日本の組織が抱える多様性(ダイバシティ)マネジメントの課題が数多く露呈している。対岸の火事、他山の石として、自らの組織マネジメントに教訓を活かす機会として捉えることは肝要である。
4.メンタル問題からのリカバリ支援方法
このプログラムが機能することが最も大切である。
その意味では、相撲でのキャリアを継続して築いていくのが良いのかどうか
を含めて、親身になって共に悩み、共に考えるメンター(又はコーチ)が必要
であろう。
歴代横綱は、日本社会を味方につけることでプレッシャーを跳ね返し、ばねに
してきたところがある。
ところが、朝青龍関の場合、日本社会や組織と対立的構図を自らの歩みで築いて
しまった。
相撲という本来、日本人が親しみを感じ、支援的気持ちが強いスポーツの世界で
歴史上、考えられないほど横綱が遊離してしまった感がある。
組織が味方にならない場合でも、相談し、心の拠り所となるリスペクトを持てる
人物の存在があるか無いかはリカバリに大きな影響を与えることだろう。
また、効果的なリカバリプログラムを機能させれば、敗者復活ができる社会組織
構造の構築に大きな示唆を与えることになるだろう。
何よりも、そのような組織でプレーしたいと願う、終身雇用に変わる新たな安心
感を付与することになるに違いない。
5.不易流行による、環境変化適合と時代対応
心技体という優れた規範がある相撲の世界で、最強の実力者が技体だけであった
という事実が、今後の相撲界をどのように進展させていくかの判断を迫ることに
なる。
野球やサッカー、バスケットボールなどのように、フィールド内だけで結果を
残せば、後はあまり干渉しないような姿にパラダイムシフトしていくのか、従来
の心技体の心を残す形で、アプローチをかけていくのか賢明な決断が求められて
いる。
また、横綱に至るキャリアの再考の必要性も投げかけている。
よく考えてみると、日本が抱えている社会的、組織的課題の縮図が見えてくる。
企業にも大きな教訓を含んだ朝青龍問題と言える。
今後の展開からも目が離せないトピックである。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
-
会員登録 (無料)
-
ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
株式会社インサイト・コンサルティング 常務取締役 COO(最高業務執行責任者)
個人と組織の成長を実現するために、真に効果的な人材育成のあり方を追求しています。国際競争力を併せ持つ能力開発を志ます。そのためには多様性を強みに昇華させることが肝要と心得ます。
