アナログ探索によって時空を超える

2007.08.30

ライフ・ソーシャル

アナログ探索によって時空を超える

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

Googleへのちょっとしたアンチテーゼとなる体験。普段デジタルな「検索」にドップリ浸かっているが、足で実体験する「探索」には思わぬ発見がある。

ちなみに、「1986 シャガール ポスター」という検索クエリでGoogleを検索してみる。
かろうじて1件のオンライン書店でこの画集を見つけ1,890円の値がついているも、売り切れ。
そもそも、筆者は同書の存在を知ってはいなかったので、デジタルの世界では出会ってもいなかったわけであるが・・・。

もう一つが大正8年刊「新選各科教授法」。500円也。
「本書は師範学校における教育科の系統的教科書として編纂したるものにして、明治四十三年初版発行以来、幸に全国各府県に於いて師範学校用又は教員検定試験用として採用され、既に数版を重ねたり」と巻頭言にある。
今日、教育がゆれている。また、戦前教育への批判はかねてより強い。
しかし、まだざっと見ただけであるが、注目すべき点も多い。

本書の第六節「綴り方教授」、第四「教授の主義」においては、文章の書き方を児童に教える時、いかに自由な発想をのばしつつ、一方で文法や論旨組み立てなどは統制をかけ指導をするかという、そのバランスが重要であるなど、非常に重要なポイントが示されている。
基本的にはこの教本においては、学問の基本は国語にありとする考えがあり、極めて賛同できる。
また、文法教育が主かと思いきや、そうでもないようである点は発見だ。

一方、国語に次ぐ重要な教科は歴史であるとしている。
第四章「日本の歴史」のこあたりは、今回うっかりしたことを書くには惜しい内容だ。
ちょっと読んだだけでも当時の歴史観と今日の歴史観の違いは鮮明で面白い。
敗戦国となった日本の歴史観といかに違うのか。
また、戦前を全否定する色眼鏡でなく、まっすぐにこの本を見た時に何が見えてくるのか。
これは時間をかけてじっくり読み込んでみたいものだ。
・・・旧字体と文語調なので、だいぶ時間がかかってしまうが。

しかし、こんな書籍がネットの世界で発見できようか。
専門家でもない人間が出会い、インスパイアされて思索の幅を広げることなどあろうか。
何とも素晴らしきアナログ探索の結果であろうことか。

ちなみに、この本は最終ページに持ち主の名前が書かれている。
「台南第一高等女学校 酒井知恵」とある。
本には持ち主の書き込みがいくつかあり、重要とおぼしきポイントが示されている。
1919年から2007年までの88年の時間と、台南から東京まで約2,000㎞の距離の彼方からこの本の読み方がナビゲートされている。
これはまさに、時空を超えたアナログならではの”ナレッジ・トランスファー”である。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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