芭蕉に学ぶ「上司-部下の関係」

2009.08.17

組織・人材

芭蕉に学ぶ「上司-部下の関係」

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

松尾芭蕉に上司としての在り方を学ぶ。

「古池や蛙飛こむ水のおと」という有名な句は、もともと「山吹や蛙飛ンだる水の音」であったと伝えられています。芭蕉はこの原句を弟子たちに披露し、ディスカッションを重ねた末、「古池や蛙飛ンだる水の音」に、さらに検討を重ねて「古池や蛙飛こむ水のおと」として完成させたようです。

当時既に芭蕉は、全国に多くの弟子を持つ巨匠でありましたが、尊大で孤高の存在になることを嫌い、ことのほか弟子たちとの議論を好みました。弟子の中には、巨匠に対してヨイショをするものも少なくなかったようですが、
「只予が口よりいひ出せば、肝をつぶしたる顔のみにて、善悪の差別もなく、鮒の泥に酔ひたるがごとし」(私が句をただ口にするだけで、びっくりしたような顔をして、その良し悪しを考えることもない。まるで鮒が泥水の中であえいでいるようなものだ。)
と言って、そのヨイショを嫌っています。

会社組織においても、年齢を重ね、キャリアを積んだり、偉くなったりして考えや発言の質が向上し、影響力が大きくなることは良いことなのですが、知らぬ間に、部下がその人の言動に対して盲目的に従っているだけの状態になることは少なくありません。会議などの場で、反対意見や異なる意見が一切出ず、常に肯定的、好意的に反応されるようになってしまうのは、別に独善的なリーダーだけではないでしょう。実力や権限・権力に伴って、そういう傾向になるほうが自然とも言えます。

だからリーダーはこれを敏感に察知し、常にフォロワーとの関係づくりに腐心しなければなりません。萎縮しているフォロワーに対して、「もっと発言せよ」「反対意見を述べてみよ」と言ってもすぐに出来る訳はありませんから、根本的にその関係を自然で良好なものにする必要があります。

効果は3つ。1つは、フォロワーの発言によって自分のアイデアや考えを磨くことができる。次に、フォロワーの積極的な参画意識により組織が活性化する。3つ目は、リーダーと共に考えるプロセスがフォロワーの成長に寄与することです。

芭蕉に投げかけられた課題に対して、弟子たちは自由で旺盛な批判精神を持って意見を述べた。そのやりとりが良い作品を生み、同時に弟子たちを成長させたはずです。芭蕉がもし、お世辞をそうと気づくことなく、尊大で孤高の存在でいたとしたら、弟子たちの中からあれだけ多くの優秀な俳人たちを輩出することはなかったはずだと思うのです。

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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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