アサヒビールの「目利き調査」

2009.06.23

営業・マーケティング

アサヒビールの「目利き調査」

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

アサヒビールでは近年、 ビール系の新製品を出す際に、 「目利き調査」 を必ずやることになっているそうです。

「自分は買わないけど、大衆には受け入れられるだろう」

といった客観的な判断ができる人たちだと、
清水氏は指摘しています。

なるほど・・・!

私に言わせると、目利きな人たちとは、
的確な批評眼を持つ

「プロの消費者」

とでも呼べる方々ですね。

考えてみれば、従来の新商品に対する消費者調査は、
基本的に、無作為抽出した消費者を対象として調査を
行ってきましたが、その予測精度や信頼性は必ずしも
高いものではありませんでした。

おそらく、こうした調査の予測精度や信頼性が
高くなかった理由としては、調査対象者に、
よく考えず、衝動的な理由で買ったり、漠然と購入
してしまう、

「アマチュアな消費者」

が多く含まれていたからではないかと、
私は考えています。

アマチュアな消費者は、十分な評価能力を持たないため、
たとえ新商品を見たり、また実際に試してみたとしても、
感覚的判断や思いつきだけで商品評価をしてしまうのです。

そして、「買いたい」と調査では答えておきながら、
発売後に購入することはほとんどしない・・・

ところが、プロの消費者は、
新商品のコンセプト、ネーミング、パッケージング
など様々な視点から的確に良し悪しを判断し、

大衆に受け入れられるかどうか

を総合的に評価できる力を持っている。

アサヒビールの「目利き調査」では、
こうしたプロの消費者に絞って組織化することで、
新製品需要調査の予測精度、信頼性を高めることに
成功したと言えますね。

さて、アサヒビールでは6月16日に第3のビール、

「アサヒ 麦搾り」

の9月15日発売が予告されたばかり。

当然、麦搾りも目利き調査をパスした商品で
しょうけど、果たして売れるでしょうか?

今回の記事は以下の講演内容を元に作成しました。

*夕学五十講(2009/06/17)

「[目利き][聞き耳][死神]の消費行動」

 清水 聰、慶応大学商学部教授

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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