パソコン・サポートランキング企画の休止

2007.08.06

経営・マネジメント

パソコン・サポートランキング企画の休止

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

日経パソコンが過去8年にわたって特集してきた、 「サポートランキング」 が今年2007年から休止することになったそうです。 この企画は、 「パソコンメーカーのユーザーサポートの実態」 をアンケートで探るものでした。

なお、このアンケートでは、

サポートを利用したユーザーに対して、
各メーカーからアンケートの告知文を送付し、
アンケート対象者(協力者)を募集する

というやり方が取られていました。

さて、このランキングが休止になった理由ですが、
上記のアンケート対象者の抽出に、
一部のメーカーが協力しないことを決めたためです。

彼らの理屈は、

「個人情報保護」の厳密な運用のため、
告知文をユーザーに送付するのはよろしくない

と判断したからということらしいのですが・・・

しかし、メーカーはユーザー名簿を
日経パソコンに直接渡していたわけではありません。

あくまで、メーカーを通じてアンケート協力者を募集し、
協力してもよいというユーザーが、自発的にアンケートに
回答する方法でした。

つまり、個人情報保護上はなんら問題はないはず。
どうも腑に落ちません。

ところが、メーカーからは次のような指摘も受けたそうです。

“毎年サポートランキングを実施しているために競争が過熱し、
 サポートへのコストが増大、パソコン事業を圧迫している”

私には、これが、ランキングへの協力を止めたメーカーの

「本音」

に聞えます。

「ユーザーサポート」、すなわち、

「カスタマーセンター(コールセンター)」

の運営コストは、確かに莫大なものでしょう。

しかし、製品本体の「機能上の違い」を
ほとんど感じることのできないパソコンにおいて、

「ユーザーサポート」

に対する満足度の高さは、
自社製品が選ばれるための重要な差別化要因では
ないんでしょうか?

もはや日用品化したパソコン事業では、
「長時間駆動」や「耐久性の高さ」をウリにする
パナソニックの「Let's Note」のような独自のコンセプトを
打ち出せない限りは、価格競争に陥るしかありません。

つまり、利益を削って値段を下げないと勝てない。
だから、ユーザーサポートの莫大なコストが重荷なんだ。

ということなら、

パソコン事業自体の存続の意義

を見直したほうがいいように思いますが、いかがでしょうか?

*参考にした記事:『サポートランキングを休止する理由』

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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