紙芝居師業界の栄光と今後を考える

2009.04.23

営業・マーケティング

紙芝居師業界の栄光と今後を考える

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

紙芝居師、安野侑志(やすの・ゆうし)氏をご存じだろうか。「ヤッサン」の名で親しまれ、芸歴37年というキャリアを誇るプロの紙芝居名人だ。

しかし、昨秋にはじまった経済危機で時代は変わってしまった。紙芝居師の世界も恐らくそのままでは済まないだろうことが、再びPEST分析を現在の時間軸で行うとわかる。

Political=教育制度改革はゆとり教育を改め、授業時間と学習項目を増やす方向だ。学校の時間が長くなり、宿題も多くなるだろう。肝心の子供の時間が減っていく。
Economical=不況の影響は大きい。不動産業はメタメタだ。販促費は絞らざるを得ない。ショッピングセンターも過当競争で撤退する物件もではじめた。そうでなくとも販促費などのコストは絞られるだろう。
Social=不景気の影響で「巣ごもり」を生活者がはじめた。生活防衛のため、財布の紐は固くなりショッピングセンターへも足が遠のく。
Technological=巣ごもりをして、楽しむなら、今日では「Wii」がある。ポータブルゲームと違い、これなら親子や家族でも楽しめる。
以上のように、すっかりPESTの各項目が向かい風に豹変してしまっている。

「誠」の記事では、これからも<大きなイベントでなくても、1件3万円前後の公演ならば全国各地で引く手あまたといい、安野さんは「初心者でもこまめに営業すれば、年収1000万円も目指せる」と太鼓判を押す>とある。
強気な市場の読みで、これからも後継者育成に力を入れるとのことだが、業界自体は逆風化にあるのは間違いない。
プロの紙芝居師のヤッサン、御年65歳。是非とも、30万円の講演料でなくとも、3万円の講演料をコツコツ積み上げる地道な努力ができる若者を育ててもらいたいと思う。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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