大和言葉で“考へる”ネーミング

2009.03.03

営業・マーケティング

大和言葉で“考へる”ネーミング

弓削 徹

近ごろ、大和言葉(やまとことば)や日本語を上手にとりいれたネーミングが目につきます。

たとえば、TBSの〔赤坂サカス〕。赤坂の“坂”と“咲かす”、ですね。あるいは〔日本みらいキャピタル〕という社名。同巧に〔日本ミライズ〕。こちらは不祥事を起こした会社ですが、未来とライズ(rise)がかかっていて、海外向けとしてもうまいなと思います。

持ち帰り弁当チェーン〔ほっかほっか亭〕を割って出て生まれたのは、〔ほっともっと〕。ほっかほっか亭よりもっとうまい、を意識しているのでしょうか。

旧カネボウの変更社名は〔クラシエ〕。快適で楽しい“暮らしへ”、との意味が込められています。

〔アステラス製薬〕は、「星」という意味の各国語と、“明日を照らす”をかけたものとなっています。これをまねて失敗しているのが、〔法テラス〕ですね。

スクウェア・エニックスの仮想世界サービスは〔ニコッとタウン〕というネーミング。レストラン街の〔ほっぺタウン〕を思い出しました。広島のショッピング・センターは〔ゆめタウン〕。こちらは、なんだか普通ですね。

太陽石油の新ブランドは〔SOLATO〕。“空”と“ソーラー”と“トゥモロー”で、オイルなのに環境コンシャスなイメージをつくろうとする努力の跡が窺われます。

東京・有明パナソニックセンター内にあるのは〔リスーピア〕。ここは、子供たちが“理数”系の魅力と出会える体感型ミュージアムで、遊びながら物理や数学の原理とふれあえるよう、さまざまな工夫がなされた施設です。

もちろん、古くは〔みずほ銀行〕や〔あさひ銀行〕、〔りそな銀行〕など、ソフトで伝統的なイメージを欲しがる金融大手も活用。

その他にも、
〔アスクル〕…明日届く          〔きりり〕…きりりと引き締まった味
〔おっとっと〕…さかなの幼児語“とと”  〔クラシアン〕…暮らし安心
〔おたっくす〕…お宅で使うファクス    〔シャント〕…強心剤なので
〔セノビー〕…カルシウム入りドリンク   〔イレバー〕…入れ歯洗浄剤
〔ワラッジ〕…わらじのような履きやすさ
〔一番搾り〕…いわずもがな        〔ぐびなま〕…同左
など日本語の意味と音感をいかしたネーミングは古今、数多く見受けられます。

これらのネーミングの基本的なメリットは、日本語なので意味が伝わりやすいことがあります。さらに、深い考えがなくつけられた市場のネーミングのほとんどがカタカナ英語やイニシャルであるため、強い存在感を主張でき、とりあえず差別化ができること。

また、社内で決定権を持つのが高齢者である場合、GOサインが出やすいこと。もし、ことわざ、慣用句、古文などの出典が背景にあれば、いっきにネーミングに艶やら深みが出るというものです。

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