「世界のKitchenから」のマーケティング整合性に学ぶ

2009.03.02

営業・マーケティング

「世界のKitchenから」のマーケティング整合性に学ぶ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

東京駅構内のコンビニ「NEWDAYS」。店は狭く、商品棚を確保するため各社はしのぎを削っている。そこで、一気に7フェイスを確保している飲料がある。キリンビバレッジの「世界のKitchenから とろとろ桃のフルーニュ」だ。その戦略の妙を考えてみよう。

4Pがキレイに整合していることは上記でわかるが、その前提にはポジショニングが極めて明確なことが貢献している。
キリンビバレッジのホームページ、「商品ラインアップ」のコンテンツでは、各商品が商品カテゴリー毎に紹介されている。<お茶飲料・紅茶飲料・コーヒー飲料・スポーツ/健康飲料・炭酸飲料・果実飲料・野菜飲用・水・乳飲料・その他>。この中で、「世界のKitchen」シリーズは紅茶・炭酸・果実・乳のカテゴリーに各商品が入っている。今回の「桃のフルーニュ」は果実にカテゴライズされているが、現在発売中の他商品のカテゴリーはバラバラだ。そのように多数のカテゴリーをまたいでいるブランドは同社には存在しない。
つまり、「世界のKitchen」シリーズは「世界の母さんがつくる料理からインスピレーションをうけたレシピで次々と新しい商品を展開する」という明確なコンセプトと、ポジショニングありきのブランドであるということなのだ。次は何が出るのだろうという期待感。そして期待を裏切らない新しい商品を限定的に上市し、さらに改良を重ねて再登場させる。そのポジショニングのもたらす好循環が、マーケティングミックスの4Pで実現されている。

マーケティングマネジメントの流れにおいて、ポジショニングの前はターゲティングと環境分析であるが、ここでもキレイな整合性が見られる。
昨今の飲料市場における動きは、「緑茶カテゴリーの成熟~衰退」と「炭酸飲料の伸長」が顕著なことだろう。「緑茶戦争」ともいわれ、多数のバリエーションや高級ラインの展開など、様々な工夫がなされたが、消費者の嗜好は「ゼロカロリー」の登場によって炭酸飲料に流れた。
しかし、市場にはもともとノンカロリーであるお茶や、甘みがあるがゼロカロリーの炭酸飲料を求めるセグメントだけが存在するわけではない。カロリーよりも、飲料としての「味わい」を優先する層も存在したのだ。
しかし、その他の、例えば紅茶や果実飲料、乳飲料などのカテゴリーはメインストリームではないため、目新しい商品はあまり開発されてこなかった。「(カロリー優先ではなく)美味しい飲み物が飲みたい」という層の「ニーズギャップ」を「世界のKitchen」シリーズは独自のポジショニングとコンセプトですくい取ったのだといえるだろう。

マーケティングの妙は「整合性」だ。環境の変化を的確に捉え、ターゲットとそのニーズをすくい取るポジショニングを固める。ポジショニングを実現するために、4Pの要素を組み上げる。その一連の整合性こそが力の源泉となるのである。
つい、施策の一部のみにアタマを使いがちになるが、「世界のKitchen」シリーズの事例から学ぶところは大きいだろう。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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