マーケと広報の「汽水域」で何をするべきか

2009.02.24

経営・マネジメント

マーケと広報の「汽水域」で何をするべきか

安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長

今日は、「マーケティング」と「広報」の境目がなくなっているという話を。『マーケティングとPRの実践ネット戦略』という書籍からの気づきです。

原書名は『マーケとPRの新しい法則』というものでしたが、日本では書名が『実践ネット戦略』となったのも、こういった具体的な部分が強いからでしょう。事例、個別のテクノロジーの使い方、アクションプラン例など具体的なものが多いのは、本書の非常に良い点です。さすが、発売されていきなりアマゾンのマーケティング関連書で3位になったのは伊達ではありませんね。

また、アクションプランとして最初に「ビジネス目標の設定」「顧客の理解」「ペルソナの作成」などがちゃんと記述されているのも、Web担で解説していることと共通していて、大きく頷けるところ。ペルソナに関しても、本格的なペルソナの作成は非常に時間とコストのかかるものですが、そこを厳密ではないものの現実的な手法にうまく落とし込んでいるのも、興味深いところです。また、アクションプランの全編にわたってとにかく「顧客のために行動する」ことを繰り返し説いているところは、「ユーザー中心設計」とか難しい言葉よりも読んでいてその重要さが伝わってきます。

ちなみに、本書の翻訳は、日本でのブログの普及に最も貢献したといわれる、ニューズ・ツー・ユー取締役CFOの平田氏。そして、Web担にはネットPR担当者さんへのインタビューをする「PR 2.0の現場から」という連載コーナーがありますが、そのコーナーの取材・執筆をお願いしている、同じくニューズ・ツー・ユー代表取締役社長の神原氏が本書の監修をしています。

連載「PR 2.0の現場から」は、ネットPR、つまりオンライン広報の今を伝えるコーナーとして開始したのですが、回を重ねるうちにマーケティングと広報の境目がなくなってきていることを強く感じるようになっていました。でも、インタビューでわかるのは各社さんがどう考えて何をしたのかの事実だけであり、企業が何をどうすれば成功できるのかの方法論は、はっきりとは見えていなかったのです。でも、本書で具体的な手法が網羅的に解説してくれたので、考えを整理できました。

冒頭にも書きましたが、すでに企業にとって、ネットをうまく活用しないと成功から離れてしまう状況になっています。なぜなら消費者の世界はすでに変わってしまっているのだから。そして、そして、企業がネットを活用するには「マーケ」や「広報」の枠組みにこだわっていては、正しい動きができないし、実際に行うアクションもブログ、SNS、検索エンジン、オンラインメディアルーム、リリース配信など、さまざまな方法があり、常に新しい技術が生まれるので、それぞれをうまく使い、さらに現場の人が試行錯誤しながら進むしかないのです。

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