橋下知事の一年と変化を嫌う心理

2009.02.13

ライフ・ソーシャル

橋下知事の一年と変化を嫌う心理

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

人間は慣れ親しんだやり方を変えさせられることに、心理的抵抗を強く感じるという。そこにズバッと切り込んだのが、大阪府知事・橋下さんだろう。この一年の橋下知事の府政に対する大阪府職員のコメントには、そうした人間心理が如実に表れているようだ。

批判は手法に向かう

・知事の手法は、俗っぽくいえば「かまし」「はったり」。行政の長としての手法とは異なる。修正を望みます。
・180万人の支持を受けたからと鼻高々で、府の権力をすべて握ったと錯覚しているようだ。
・「思いつき」が「思い込み」になり、今や「思い上がり」になっている。リーダーシップをもう一度考え直すべきだ。
・役人いじめの言動にはうんざり。府職員が今まで積み上げてきたことが全否定されているみたいです。
・「赤字だから廃止する」という考え方は「あたたかい行政配慮」に欠けると思います。

評価は具体的な内容そのものに

・職員給与に手をつけた点。議論をオープンにした点など今まで考えられないことばかり。
・私学助成という聖域化した分野に踏み込んだこと。議会などに迎合せず財政再建に取り組んだことは評価したい。
・伊丹空港の縮小を明言したのは今までの知事ではなかった。
・長年続いてきた教育界の体質をゆり動かしたことは見事。
・知事にメールすることがあるが、すぐに返事が返ってくる。そのスピード感と熱心さには感服している。
(いずれも毎日新聞2009年1月25日付け朝刊27面)

批判と評価の好対照

上記はいずれも府職員からのコメントだ。新聞記事に掲載されたものだけという留保がつくが、見事なまでのコントラストではないか。知事に対して批判的なコメントを出している人たちは、知事がこの一年でやった「こと」に対してではなく、その「やり方」を集中して非難している。まるで内容についての是非などまったく関係ないみたいだ。

とにかく自分たちがこれまで慣れ親しんできた「やり方」を強制的に変えられた、そのことに憤懣やる方ないのだ。彼らのコメントからは、府政にとっての意義とか、府民に対する意識は微塵も伺えない。まるでお気に入りのオモチャを取り上げられて駄々をこねている子どもといった印象を受けるのは、筆者だけだろうか。

一方で知事を評価している人たちのコメントは、橋下氏のこの一年間に積み上げてきた行動とその成果に向けられている。コメントをピックアップする時点で毎日新聞なりのポジショントークが入っているのだろうが、あまりにも好対照だと思う。

破綻企業の社員に選択肢はあるのか

橋下知事は就任にあたってまず職員にきっぱりといった。大阪府の財政は企業にたとえるなら破綻状態なのだと。その意味を理解した職員、理解できなかった職員、理解しようともしなかった職員がいるようだ。
企業が倒産すれば、従業員は基本的に無条件に解雇される。選択の余地はない。もっともラッキーな場合でも再建請負人の指示に従い、おそらくは今までとはまったく異なるやり方で仕事に臨み(イヤなら辞めるしかない)処遇が一変しても文句は言えない。それが倒産の意味である。

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