フジテレビ・「結婚披露宴」参入の手堅い戦略

2008.07.24

経営・マネジメント

フジテレビ・「結婚披露宴」参入の手堅い戦略

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

フジテレビが結婚披露宴事業に参入した。企画・運営会社設立し、スタジオで披露宴をとり行うサービスまで展開するという。ちょっと考えると「テレビ局で結婚式?」と思ってしまうが、実は意外と手堅い戦略であることがわかる。

上記、「成長マトリックス」で分類した企業の展開の成功確率を、ハーバード・ビジネス・スクール教授のマイケル・ポーターがかつて検証したが、当然、「市場浸透戦略」が最も成功確立が高かった。次いで「新製品」「新市場」と続き、当然「多角化」がやはり最も失敗率が高かった。こうして考えると、市場浸透、新製品となかなかうまい展開が描けない以上、むやみに多角化を避けて、新市場開拓を選ぶことは非常に理にかなっていることがわかる。

もう一つ注目したいのが、今回の会社組織だ。新会社名は「ストーリアLLC合同会社」。株式会社ではなくLLCである。
LLCとは2006年施行の新会社法の一つの目玉であり、旧会社法の合資・合名同様に簡便な設立が可能であり、有限責任でリスクが低い形態である。また、株式会社が出資比率に応じた利益配分を基本としているのに対し、LLCは出資額の多寡に関わらず、知識・ノウハウなどで貢献できるスタッフを厚遇し、利益配分することも可能な仕組みである点がポイントだ。
毎日新聞のニュースソースによると<社長には「ロングバケーション」など人気ドラマのプロデューサーを務めた杉尾敦弘氏(42)が就任>とある。
http://news.livedoor.com/article/detail/3740785/
参画したスタッフのやる気を引き出すためであると解釈できるだろう。

フジテレビの発表によれば<本件が今期業績に与える影響は軽微だが、中長期的に収益向上に寄与する見込み>というこれまた、手堅い発表をしている。
しかし、こうして考えると、手堅いながらも理にかなった展開であり、うまくすると化ける芽もあることがわかるのだ。
<8月2日にはフジテレビのスタジオで、1組のカップルが披露宴を行う予定>とのことだが、今後もウォッチしてみたい動きである。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

フォロー フォローして金森 努の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。