郵送アンケート回収率向上のノウハウ

2008.07.15

営業・マーケティング

郵送アンケート回収率向上のノウハウ

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

昨日、日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)主催の 「JMRA調査研究セミナー」 に参加しました。 当セミナーでは、 「調査業界が置かれている現状」 などを含む合計5本の発表が行われましたが、 どれも大変興味深い内容でした。

依頼状は、一般にペラ1枚別に同封しますが、
1点でも同封物を減らすため、調査票と一体化。

調査の趣旨・目的や謝礼等について、
短い文章で簡潔に説明しています。

また、調査票の中身も、
レイアウトや段組みなどを工夫して、
できるだけページ数が増えないようにします。

ただしやみくもにページ数を減らすだけでなく、
回答しやすさ、回答ミスの起きにくさにも留意して
設問の文言や選択肢の並べ方を考えます。

送付用封筒としては、A4サイズの調査票を折り曲げず、
そのまま送れる大きさの角封筒を使うそうです。

折り曲げてあった調査票は回答しにく、
また、ページをめくりにくいからです。

料金別納郵便のスタンプは汎用的なものではなく、

「ASAHI SIMBUN」

の英文社名が記載され、犬のマスコットが新聞を
くわえているマークの特別製スタンプを利用します。

ここでも調査主体を明示して信用性を高める作戦です。

一方、返信用封筒には、

「郵便切手」

をちゃんと貼っておきます。(一般には料金別納)

回答しなければ切手代(今回の調査は120円)が
もったいないという心理的プレッシャーをかけるわけです。

さらに、先渡しの謝礼として「社名入りボールペン」を同封。
こうした立体的なものは、封筒に出っ張りができるため、

「何だろう?」

と受け取った方の関心をそそります。
つまり、「開封促進」の効果があります。

加えて、回答者には「図書カード」(1,000円分)を進呈する
ことを調査票冒頭の「依頼文」内で明記しました。

調査票返送の締切日は金曜日に設定します。
そして、催促状(1)のハガキは、締切日の2日前の夕方に投函。

催促状は、おおむね締切日当日に対象者に届きますが、
その週末の土日で回答してもらえることを狙っているのです。

ここまでやっても回答しない方には、催促状(2)を送ります。

ただ、催促のハガキだけを再度送っても効果は薄く、
また調査票は既に紛失している可能性が高いため、
改めて調査票と120円切手を貼った返信用封筒を送付することで

「回答しなけりゃ・・・」

という気持ちにさせるのです。

松田氏は、回収率を高めるために、
ことさら特別のことをやっているわけではないと、
強調していました。

回答者心理についての深い理解を踏まえて、
細かい気配りをほどこした調査設計・運用を行うことが重要であり、
それが結果として高い回収率につながるということなのです。

朝日新聞の郵送アンケート調査における地道な工夫は、
お客様へお送りするDMなどの各種マーケティング・
コミュニケーションの設計・運用にも、大いに参考になる
内容だと思います。

蛇足ながら、1本の郵送アンケート調査で、
最大4回接触できるだけの予算を確保するのは
そう簡単ではありません。

現実には、予算の制約のため、
予告状なし、催促状は1回だけということが
多いと思われます。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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