「オフィスグリコ」3年かけた仕組みづくり

2007.05.11

経営・マネジメント

「オフィスグリコ」3年かけた仕組みづくり

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

私事で恐縮ですが、私の事務所に本心では置きたいが、 絶対に置かないことにしようと固く心に決めているのが、 「オフィスグリコ」(富山の置き薬的お菓子販売システム) です。

というのも、私は、

「(酒を)飲むこと」「(なんにせよ)食べること」

については、抑制ができない性質(たち)なもので・・・(^^ゞ

もし本能の誘惑に負け、うっかり置いてしまったら、
お菓子箱1ケース分のお菓子(1ケースに24個入ってます)
を一人で数日中に食べ尽くしてしまうこと必至!

ですから、継続的ダイエット中の私としては、
以前2度ほどグリコさんの営業訪問を受けましたが、
ぐっとこらえて思いとどまったのです。

さて、私事はさておき、「オフィスグリコ」はすばらしい!

2007年3月末現在で、東京や大阪のオフィス8万5千箇所に
菓子箱を設置。単価100円の小銭商売ながら年商は

「26億円」

を達成してます。(日経情報ストラテジー、JUNE 2007)

しかも、全体ではまだ赤字ですが、
全国50箇所の販売拠点のうち、開設から3年以上を経過した
拠点の多くが、営業利益ベースでは黒字化を果たしています。

私がなにより「すばらしい」と思うのは、
事業の立ち上げ・展開に当たってじっくり腰をすえて
取り組んだという点です。

オフィスグリコの構想検討開始は97年頃でした。
そして、99年2月に大阪に第1号販売センターを設置。

その後、本格展開を開始したのは2002年の3月ですから、
実に3年間もの間、薄利商売で利益をだす「仕組みづくり」
に取り組んだのです。

さすが、1粒で300メートルのグリコです。実に粘り強い。

性急に結果を求めるあまり、有望な事業の芽をつぶして
しまいがちな昨今の企業とは違いますね。

さて、この3年間の仕組みづくりの中で、
オフィスグリコでは、多くのものを捨ててきました。
利益を確保するために。

たとえば、代金回収方法。

社員が自由に飲めるオフィスコーヒーシステムは、
企業の総務部門に対して一括請求することができます。
(福利厚生費扱いにできますし)

しかし、お菓子はそうもいかない。
企業から代金をまとめて回収することは困難でした。

そこで、野菜の無人路上販売方式を参考にして、
菓子箱についた貯金箱に、
ユーザー自身で代金を入れてもらうことにしました。

買い手の善意に頼るやり方ですね。

しかし、うっかり入れ忘れたり、ずるして払わない人も
いるのでしょう、回収率は95%だそうです。
(つまり、5%の売り上げロス、しかし意外に回収率は
 高いですね)

でも、確実に回収しようとするための手間が発生しません。

電気代がかかる自動販売機にする必要もなくなったため、
お菓子箱には、普通のプラスチックケースが使えて、
結果的に効率的でした。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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