ミック・ジャガーに学ぶマーケティングセンス

2008.05.11

営業・マーケティング

ミック・ジャガーに学ぶマーケティングセンス

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

ミック・ジャガーといえばローリング・ストーンズ。一度ワールドツアーに出れば、世界中で600万人を動員するお化けロックバンドである。そのグループを50年近くまとめてきたボスのやり方から、何を学べるだろうか。

ストーンズがデビューしたのは、ミックが20歳のときである。これ
はビートルズの少し後のことになる。つまりストーンズにとってはデ
ビュー時にすでにビートルズという先行モデルが存在した。おそらく
はビジネス感覚鋭かったであろう二十歳のミックは、ビートルズの成
功事例から自分たちの進むべき道を敏感に嗅ぎ取っていたはずだ。す
なわちそれは絶対にビートルズの真似をしてはいけないということ
だ。

巷では犬猿の仲とか言われた両バンドだが、意外なことに実はとても
仲がよく、お互いにシングルを出す時期がかぶらないよう連絡を取り
あっていたという。それぐらいの仲であれば、ビートルズのメンバー
から彼らの成功ストーリーを聞き出してもいただろう。そこでストー
ンズが選んだのが、徹底したビートルズ逆張りマーケティングであ
る。

そもそもベースとなる音楽性がまったく違うのである。ビートルズは
あくまでも洗練された印象的なメロディーラインとキレイなハーモ
ニーが売りである。一方ストーンズは、泥臭いブラックブルース
フィーリングぷんぷんの中にキースの妙に引っ掛かりのある(故に
カッコいい)リズムカッティングが絡む。こうしたトーンの違いを切
り口として、ヘアースタイル、ファッションから言動までストーンズ
はあくまでアンチビートルズ路線を貫いた。マネジャーの意見もあっ
たのだろうが、ここにミックの優れたマーケティングセンスをみる。

その後もミックは巧みにバンドを仕切っていく。デビュー時の実質的
なリーダーだったブライアン・ジョーンズが悲劇の死を遂げると、音
楽に関してはキースを立てながら、おそらくはバンド経営についての
実権を着実に握っていったのだろう。

ストーンズと言えば「ワル」「ジャンキー」「アル中」といったイ
メージがつきまとう。しかし少なくとも70年代後半、ロン・ウッド
が加入した頃からのステージを注意してみると、プレイしながらバー
ボンをラッパ飲みしたりタバコを吸っているのはキースとロンであ
る。ミックは縦横無尽にステージを動き回っているが、ほとんど息一
つ乱れていない。30代後半に入ってミックはすでに節制を始めてい
たのだと思う。

これも伝え聞くところによれば食事はベジタリアンを中心にし、ジョ
ギングなどフィットネスに励み出したという。ロックスター、あるい
はストーンズのボーカルというアイコンとして、自分がどう見られれ
ばよいかを計算し、その通りにやってきた。クールである。

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