香りマーケティング

2008.04.02

営業・マーケティング

香りマーケティング

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「香り」 をマーケティングに採用する動きが、 今後ますます強まりそうです。

今年(08年)6月、ニューヨークで、

「SCENT world CONFERENCE & EXPO 2008」

が開催されます。

「香り」をメインテーマに据えた
初めての大規模なコンファレンス&展示会だそうです。
(宣伝会議No.737、2008.3.15)

面白そうです。行ってみたいですよね。

さて、具体事例です。

マンハッタンのタイムワーナービル内にある
サムスンのショールーム、

「The Samsung Experience」

では、天井に設置されたポンプから、
店内に心地良い香りが放出されており、
訪問客をリラックスされているそうです。

この香りは、
おそらく全世界の同社のショールームや
オフィスなどでも流されるのでしょうね。

そして、ユーザーは、
この心地よい香りを嗅ぐたびに、
サムスンを思い出すことになるわけです。

こうしたブランド独自の「香り」を

「ブランド・セント」

と呼びます。

高級ホテルでも、顧客との

「感情的なエンゲージメント」

を築くために独自の「ブランド・セント」を
ホテルのロビーなどに放出しています。

日本では、昨年、
DNPメディアクリエイトと
早稲田大学の恩蔵直人氏が共同で、
香りのマーケティング実験を行っています。

百円ショップ「セリア」の八店を実験店舗と
して選び、店内で香りを発生させることで、
売上に影響を与えることができるかを調べたのです。
(日経MJ、2008/02/06)

香りは2種類。
気分を落ち着かせる「ジュニパーアロエ」。
気分を活性化させる「オレンジブラッサム」。

それぞれ3店で放出。
残り2店は比較のため香りを流しませんでした。

実験中と実験前後の売上の変化を見ると、
「ジュニパーアロエ」を流した店舗の場合、
インテリアや文具商品での伸びが顕著だったそうです。

ところが、衣料品、収納用品、レジャー用品では
売上が減少してしまいました。

一方、「オレンジブラッサム」の場合は、
文具用品で売上が伸び、インテリア用品で減少と、
インテリアについては「ジュニパーアロエ」と
逆の結果になっています。

客の店舗滞留時間を見ると、
「ジュニパーアロエ」では滞留時間が延び、
「オレンジブラッサム」では逆に時間が短縮しています。

こうした結果を見ると、
販売している商品カテゴリーによって適した香りが
あること、また、滞留時間を延ばしたい、逆に
客の回転を早めたいといった企業側の意図に応じて
選択すべき香りが異なることがうかがえますね。

このあたりは、BGMとして流される音楽と
同じような考え方でいけそうです。

次のページ「BGC」(Background Scent:環境香り?)

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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