東ハトの再生に学ぶ企業価値向上の戦略

2007年12月に開催したIBSファイナンス研究会におけるユニゾン・キャピタル株式会社パートナーの木曽健一氏のご講演の要旨をご紹介いたします。

 ユニゾン・キャピタルには2002年末に東ハトのお菓子部門を買収しないかという提案があった。お菓子部門は儲かっていたことから、新しい受け皿会社を作って、お菓子事業を営業譲渡すると共に、東ハトという名前も新会社に移した。これは日本初のプレパッケージ型の民事再生となった。事前にスポンサーを決めていたことから東ハトのお菓子がスーパーマーケットの棚から撤去されるようなことはなかった。2代目経営者の経営が破たんを招いたことから買収後の経営を任せることはできなかった。また、本来は社内から新たな経営者を選任することが良いのだが、適任者がいなかったために木曽氏が社長に就任することになった。

 ユニゾン・キャピタルがスポンサーになると言っても名前が一般に知られていなかったことや若い木曽氏が社長に就任したことから当初は現場の社員から不安な視線を受けた。それでも一定階層以上の社員とは、民事申請前に毎日会社に行って取引先や運送会社への対処策などを詰めていたので信頼関係ができていた。

 ゴルフ場開発直後以降、10年ほど良いことがなかった会社であったため、分かりやすい前向きなニュースが必要だと思った。そこで元日本代表のサッカー選手であった中田英寿氏を執行役員に招いた。木曽氏と中田氏は個人的な知り合いでもあり、2003年の当時、イタリアにいた中田氏も日本についてのニュースに明るいニュースがなかったこともあって協力してくれた。中田氏は工場を訪問するなど積極的に社員とのコミュニケーションをとってくれた。このようなイベント的な対応が成功した。また、木曽氏が社長に就任した日に社員と社員の家族に対して3つのお願いと3つの約束という手紙を出した。工場や研究開発に積極的投資をしますとか、社員にとって良い職場にしますという約束をすると同時に社員に対して前向きな取り組みをお願いした。家族の方々には、会社が倒産したことによってお父さんやお母さん、あるいは、ご主人や奥さんは辛い立場にあるが支援してあげて下さいという内容の手紙を出した。これに対して非常に良い反応を得た。人は気持ちの持ちかたで変わるということを実感した。

 自分よりも年上の執行役員と忘年会の席で話してジンとくる経験をした。その執行役員は、忙しいし大変だけれども、正しい仕事を一生懸命しているという気がすごくするということだった。過去20年間すべき仕事をしていなかったので正し仕事をしていたらもっと大きな仕事ができたと思うので悔しいと涙を流しながら語っていた。

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