働き方改革にはCPO[最高“哲学”責任者]が必要

画像: taitiro a.k.a. amamako

2020.02.13

組織・人材

働き方改革にはCPO[最高“哲学”責任者]が必要

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

仕事柄、昨今のいわゆる「働き方改革」、そして「人手不足時代の人材獲得」について企業の人事担当者・経営者と話し合う機会がよくあります。そこで私が提示する観点の一つが「CPO」です。


確かにこうした物的な施策は従業員にとって好ましいものです。企業が労働環境や労働条件の改善を不断に行うことに異論はありません。ただ、物的な改善は、心理学者フレデリック・ハーズバーグが説いた「衛生要因」でしかないことに気づかなければなりません。

すなわち衛生要因とは、それが不足・不備であれば労働者の意欲は明確に下がるが、それを必要以上に与えても意欲は比例して上がっていかないというものです。ハーズバーグは衛生要因に対し、もう1つの「動機付け要因」をあげていますが、これは意欲の向上にどこまでもプラスに寄与します。そしてそれは多分に精神的な仕掛けです。

働き方改革が叫ばれる昨今、さらには人手不足の昨今、企業は物的にいろいろなものを拡充させてヒトを呼び寄せ、囲い込もうとします。それによって短期的には効果が出るかもしれません。しかし、それと同時に従業員を巻き込んだ精神的な取り組み――例えば、事業理念の共有やこの会社で働くことの意味創出などを喚起する対話――をせずに、内発的動機を空洞にさせたまま数値目標達成に向かって突っ走るとどうなるでしょう……。

意味とは「意(こころ)の味わい」と書きますが、意味を求める有能な人材はやがて去って行くでしょう。仕事・事業の中の意味を大切にする人は、ほんとうに組織を健全に強くするために大事な人です。この種の人材は、たとえ労働環境が物的に恵まれていても、企業が殺伐とした利益追求だけの事業を行うとすれば、早晩そこを出て行くでしょう。そして物的な好条件だけに関心のある人たちが組織にいついてしまい、ぶら下がり意識のまま定年まで過ごそうとなる。

また一方で、破格の高額年俸で引き抜いた人材は、そもそもその会社への愛着心はありませんから、もっと好条件でお声がかかれば、いとも簡単に他に移っていくでしょう。


そのように外的・物的な方策だけに頼ると、企業組織は中長期的にヒトの保身的硬化をまねく危険性があります。そのために、内的・精神的な方策が必要といえます。CPOの出番はここにこそあります。

◆CPOは「哲学する心の発酵促進者」

売上高、利益額、成長率、生産性、市場シェア率、株価、投資対効果……経済的尺度の数値評価ばかりに覆われる組織内で、CPOは理念や意味、目的、ビジョン、存在価値、やりがい、志、動機、哲学を語りはじめねばなりません。

一人一人の従業員に自身の内面にサーチライトを向けさせ、働く上で「意(こころ)の味わい」というものがどういうものなのかを考えさせる。そして一人一人の内発的動機を掘り起こしていく。そんな地味で即効性はなく、定量化もできない仕事だけれども、根本的に重要な仕事をCPOはやることになります。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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