脳科学から考えた睡眠仕事術

2008.02.27

ライフ・ソーシャル

脳科学から考えた睡眠仕事術

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

<目が覚めるとベッドサイドのパソコンに電源を入れ、メールをチェックしブログを書き始める。いきなりフルスピードで仕事モードに入ります。> いや、そんなカッコイイ姿は筆者のことではない。脳科学者茂木健一郎氏が自身の仕事術を紹介した日経新聞のコラムである。

<午前中が創造的な仕事をするゴールデンタイム>と語る氏によれば、<寝ている間に脳が無意識のうちに記憶を整理してくれ、体験の意味がより明確になり熟成してくる>からだという。

睡眠中における脳の無意識下の働きについては、養老孟子氏も述べている。
http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=20070529i3001i3&page=2
要約すれば「人間の脳は、意識するとせざるに関わらず、昼間目にしたものや聞いたものを記憶し、溜め込んでいる。また、思考し何らかの考えも蓄積する。そうして、脳内のエントロピーが増大した状態で夜を迎え、眠る。眠りながら脳が働き整理する」ということだ。

筆者が上記リンクの養老氏のコラムを読んだのは昨年の10月だが、それ以来、目覚めた時が一番脳が整理された状態であることが分かったので、茂木氏のように仕事を朝型に切り替えた。実に効率がいい。

もう一つ実践していることが、無意識下の脳に意識的に働かせることだ。
「無意識で意識的?」と完全にロジックとしてはおかしいのだが、不思議とそれができるのだ。
眠りに入る直線。意識が少し遠のく瞬間に一つの命題を脳に与えておく。例えばコラムで書きたいと思うようなテーマの断片を。すると、眠りに落ちる瞬間までそのことを少し思考する。眠ったあとは無意識の脳に任せる。茂木氏や養老氏の言うような情報整理のプロセスを脳が行っているうちに、その命題と脳内の情報や記憶の断片が結びつく。うまくいけば、目が覚めると何んらかの考えが浮かんでいる。ベッドサイドにパソコンはないけれど、できるだけ早くパソコンに向かうか、必死にメモをとる。毎回うまくいくわけではないが、なれてくると結構、勝率がいい。

そんな話をすると、「眠っている間までそんなことをしていたら、気が休まらないでしょ?」と人に言われることがある。しかし、養老氏は<この脳の働きを裏付けている最大の証拠は、寝ていても起きていても、脳が使っているエネルギー量は変わらないということだ。> と語っている。誰しも眠っている間も脳を動かしているのだ。どうせなら、それを効率的に使った方がいいだろう。これは一つのライフハックと言えると思う。
騙されたと思って、今夜にでもお試しあれ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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