ストロー廃止で何が変わる?マイクロプラスチックごみが警告する海洋問題(前編)

2018.08.02

経営・マネジメント

ストロー廃止で何が変わる?マイクロプラスチックごみが警告する海洋問題(前編)

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南青山リーダーズ株式会社

“災害”と言われるほど猛烈な暑さが続いている今夏。アイスコーヒーやジュースなど冷たいドリンクを飲むのにストローを使った人も多いことでしょう。 今、このストローが世界中で大問題になっていますね。 大手コーヒーチェーンのスターバックスは、現在利用しているプラスチック製のストローについて2020年までに使用をやめると発表しました。マクドナルドも英国やアイルランドの店舗でプラスチックストローの利用を段階的にやめ、紙製ストローを導入する方針です。 その理由は「マイクロプラスチック」と言われる微小のプラごみが海を汚染していることに起因するのですが、なぜストローばかりがこんなに注目を浴びているのでしょうか。マイクロプラスチックごみにかかわる問題について考えてみましょう。

魚よりもごみの量のほうが多い海……、なんと恐ろしいことでしょうか。

日本の海域でも多くのマイクロプラスチックが見つかっています。環境省の調査では、日本海北部、東北地方の太平洋側、九州南部で特に多いことが判明しましたが、これは日本から流出したプラスチックごみだけではなく、近隣のアジアの国々から漂着したものも多く含まれていると考えられます。日本周辺の海域1平方キロあたりのマイクロプラスチック数は172万個であり、実に世界の27倍。日本の海はマイクロプラスチックに汚染されているのです。

さらに、マイクロプラスチックごみは海面に浮いたり、海中を漂ったりするだけではなく、海底にも多く沈んでいるとみられています。東京湾の海面に浮いているマイクロプラスチックが3個/平米に対して、東京湾の海底には6万個/平米が堆積しているというデータがありますが、研究者によって調査方法が違うため単純に比較できないのが実態です。将来的な調査手法の統一や標準化が期待されます。

全米の合言葉は「No straw, please.」

このような事態を踏まえ、欧米では数年前から対応に乗り出す国が増えています。

前述の通り、スターバックスやマクドナルドなどの企業がプラスチック製ストローを段階的に使用禁止とする動きを見せていますが、1年に5億本ものストローが廃棄されるといわれる米国での最近の合言葉は、“No straw, please.”。これまでドリンクと一緒に当然のようについてきたストローを断る活動が全米で拡大中です。

すでに、カリフォルニア州マリブ市では、今年2018年の6月1日から飲食店でのプラスチック製ストローの提供を禁止。また、シアトル市では今年7月1日から、プラスチック製ストローだけでなく、ナイフ、フォーク、スプーンなどのプラスチック製カトラリーの提供を禁止しています。
スターバックスが本社を置くシアトルは、特にこの運動のイニシアチブをとってきており、レジ袋や使い捨てプラスチック食器などの削減や廃止を目標としてきました。スターバックスがいち早く対応したのも当然かもしれません。

環境問題に一石を投じたのはSNS

スターバックスでは、プラスチック製のストローを廃止したのち、ストローがなくても飲める形状のふたを使う、としています。なぜストローばかりに注目が集まるのでしょうか。

プラスチック製のストローを廃止する理由は、大きく2つあります。
●ひとつは細長く小さい形状から、ストローはリサイクルされずにゴミ箱に捨てられることが多いから。
●もうひとつは、医療的に必要な人を除けば、ストローがなくても飲めるため、ストローをなくしてもあまり困らないから、です。

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