双子の赤字が焦点の米国金融市場!

2018.05.25

経営・マネジメント

双子の赤字が焦点の米国金融市場!

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双子の赤字”Twin Deficits”という言葉があります。貿易赤字と財政赤字が併存していたロナルド・レーガン政権を指してに生まれた言葉です。この言葉は単にアメリカだけでなく、世界各国でこの状況が見られたため経済用語として定着しました。これが今後の米国を中心とした金融市場の焦点になり、また米国の金利上昇の動きにつながってきています。

米中の貿易対決

まず米国の貿易赤字について考察します。トランプ大統領は、巨額の対米黒字を計上している国々に対して様々な交渉カードを出して、貿易赤字解消に努力しているようです。その代表格が対中国です。
双方の国が互いに500億ドル相当の制裁関税を繰り出す泥仕合になっている感があります。米国の貿易赤字は3月490億ドルを計上していますが、年間の数字を見ると昨年は7,960億ドルです。この内の約5割近くが対中国での赤字であると言えます。
中国が自由貿易を主張し、米国が障壁のある貿易を望んでおり、これまでの主張が双方反対であるのではと言う不思議な貿易姿勢であるのではと思います。
今日のウォール・ストリート・ジャーナル紙には、中国が、国内輸入業者と連携して、2020年末までに米国の対中貿易赤字を2,000億ドル削減することに注力すると報道されていました。
概算で年間の米国への中国の貿易黒字が4,000億ドルと想定すると、3年間で1兆2000億ドルです。その内の2,000億ドル削減するということですから、16%強削減努力するということを意味します。16%を多く見るか少ないのかトランプ大統領はどのように考えているのでしょうか。

米中間選挙では対中政策が焦点

安全保障上の問題を名目に、最近中国への貿易赤字削減を迫っているトランプ大統領ではないかと思います。そして、全体の米国の貿易赤字の推移を見ると悲観的になります。
下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は2000年からの貿易赤字の推移を示しています。これを見ると、2010年からは4,000億ドルの水準から赤字幅を増やす傾向にあります。そしてここ2年では、その赤字幅が7,000億ドルを超えて、大きく増える傾向にあると言えます。
米国経済はこれまで好調であり、直近のGDPは第1四半期:2.3%前期比年率です。消費経済構造の米国社会では、消費が好調と言えます。米国社会の大量消費社会では、安価な中国製品は消費生活では今や必需品です。
安くて良い品質に変貌を遂げつつある中国製品の流入を抑えることは困難なようです。難しい交渉力をトランプ政権は迫られることになります。
トランプ大統領としては、11月中間選挙の関門を上手く突破るためにも、対中国政策と言う有権者に分かりやすい項目で得点を挙げることに全力を注力するのではと思います。今後の対中交渉の経過を見守りましょう。

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