手ごたえを感じた面接が失敗する理由

2016.05.24

組織・人材

手ごたえを感じた面接が失敗する理由

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

今シーズン就活もまっさかり。まもなく迎える6/1の採用解禁と同時に内定が乱発されるのでは?という説もあります。すでに面接を受けている人も多数いるでしょうし、これから初めて面接の方も、さらには新卒だけでなく転職時の面接でもよくある「感触が良かったのに落ちる」こと。その中身を探ります。

私の少ない海外滞在経験や欧米だけでなく、アジアから南米、南アフリカまで世界中の人々とビジネスで接してきた限り、少なくともビジネストーク(商談)を一方的要求を突き付けるだけの人など会ったことがありません。逆に地球の裏側ほども距離が離れている国の人や、日本とはあまり関係の良くない国情の人なのに、まるで遠い親戚のような親和感や価値観のつながりを感じた経験は山のようにあります。

つまり自分の言いたいこと、伝えたいことを言うのが面接ではないという、「採用の原理」を今一度考えて臨んでほしいのです。「手ごたえがあったのにダメ」なのではなく、「手ごたえ」と思い込んでいたことが実は手ごたえではなかったのではと考えるべきです。


・真の手ごたえ
面接はプレゼンテストではありません。コミュニケーションの場です。自分の言いたいことという前に、まず「相手」の「聞きたいこと」を理解するのが先決です。これをすっ飛ばしていきなり自分のアピールをまくしたてて、それが成功したことに手ごたえを感じても、面接が成り立っていないのです。手ごたえを感じる部分を間違えているのです。

実際面接で手ごたえを感じることはあります。しかしそれは言いたいことを言えたかどうかではなく、相手=採用側の関心のあることを面接中にしっかり理解でき、それに合致する意見や情報を出せた時です。まず「聞く」ことに成功しなければ、コミュニケーションは絶対に成り立ちません。

来週からの面接本番を迎え、プレゼン練習に余念がない方。それ自体は無駄ではありません。相手がそのプレゼン内容に関心があると確証を持てたなら、非常に有効な情報提供になります。しかしそうではないことに相手が関心を持っているなら、絶対に自分の言いたい欲望に負けることなく、必ず相手の希望に沿うのを優先しなければなりません。

面接練習に来る方には、特に新卒就活の学生であれば、いかに覚えてきたセリフをすらすら言えるかと採用は全く関係がないことを説明しています。わざわざお金を払って面接練習まで来るような意欲のある人たちは、えてしてアピールが前面に出過ぎています。アピールそのものが良い悪い以前に、相手が聞きたいことをそっちのけで臨めば、どれだけ良いプレゼンでも意味がありません。

面接やESの質問・設問をきちんと理解せず、自分勝手に都合の良い情報を並べ立てる人は、むしろしっかり準備をしている人に多く見られます。これはコミュニケーションではありません。ぜひ、「聞くこと」をまず第一に心がけて、面接に臨んで下さい。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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