先生方が互いに「先生」と呼び合う復興会議に未来はあるのか?

2011.04.18

ライフ・ソーシャル

先生方が互いに「先生」と呼び合う復興会議に未来はあるのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

何人かの政治家という方と直接お話をさせていただいたこともある。大学の教授の方々とも、難しいテーマで議論をさせてもらったこともある。その度に、疑問に思う。みなさん、ひとりひとりは、こんな立派なのに・・・その先生方が集まって始めることは、なぜ、あんなにヘボいのか?

東日本大震災でわかったことがある。政治家、官僚、東電・・・日本のエリートの方々は、集まっていても、あまり役に立たないのではないかという現実。「先生方」が、各々の「先生方」を、「先生」呼ばわりする組織では、危機管理能力なんて存在しなかったという、日本というシステムの恐ろしい現実である。

サンデー毎日の4月24日号で、「街場の原発論」と題して内田樹さんがこのように指摘されている。「エリート達は、受験秀才です。彼らの仕事は、正解を答えることであり、誤答を嫌います。誤答をするくらいなら、黙っている。でも、危機というのは、資源がない、情報がない、人員がない、時間がない。という状況のことです。そのような状況下で、最適判断を求められると、受験秀才はフリーズしてしまう。」「このように判断したことには十分な根拠があるという条件が整うまで、秀才は何もしない。その間に、もっとも貴重な資源である時間は、不可逆的に失われてしまう」。このような人達に、日本の管理運営を委ねるようなシステムを採用してきたことに警鐘を鳴らされている。

その道の秀才は、畑の違う分野には、同じような秀才が居ると信じている。だから、お互いが「先生」と謙遜し合う。秀才だから、自分を全知全能だと言ったりはしない。賢くて変に傲慢じゃないから、その得意分野だけの智慧を出そうとする。

その「先生方」達の意見を聞く、また、その上の「先生方=政治家」達は、その無責任な意見を、それぞれの思惑と立場で聞く。その偉い先生方は、自分がいちばん偉いと各々に思っているから、その分野の「先生方」は、自分にいちばん正しいことを伝えてくれていると信じている。

でも、その専門の「先生方」は、お金をもらったり使われたりすね身分なので、いちばん偉いと想っている先生方達の思惑と立場に合わせて意見を言う。心の中では、政治家の先生方を、少し蔑んだりして見たりしているのに・・・。

そうやって「先生方」達は、集まって意見を聞くほどに、バカになり、ヘボくなり、ドジな結果を招くことになる。
公式的には、

先生×先生=ヘボ

の法則である。

高学歴&高収入な先生方は、自分より高学歴&高収入な人達の意見を聞く傾向がある。勉強をして先生になった方々は、正々堂々とした誤答を、「正答」にしてしまう心弱さがある。

東日本大震災の後の荒野。長引く原発の問題。この状況で、みんなが100%納得する「正答」なんて導き出せるわけがない。しかし、高学歴&高収入な先生方は、この期に及んでも、「美文」を用意されようとする。いまある大きな危機と将来を、簡単につなげられるこの有事だからこそ、華麗なレトリックを駆使して復興案を書かれようとしている。その政治のために、先生方が、いっぱい官邸に呼ばれるわけだ。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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