東電の幹部の方々は、ウルトラマンから何も学ばなかったのか?

2011.04.07

ライフ・ソーシャル

東電の幹部の方々は、ウルトラマンから何も学ばなかったのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

東北関東大震災の復旧を大きく妨げている福島原子力発電所の事故。いつ終わるかわからない、この日本の、人類の危機に、私達のウルトラマンは、やって来なかった。でも、この機会に思い出してもらいたい屈指の名作がある。

40才以上の男なら誰もが真似をした怪獣がいる。セーターを頭までかぶって、その襟元から顔を出してやった怪獣ごっこ。
そう「ジャミラ」である。
ジャミラが登場した初代ウルトラマンの第23話「故郷は地球」が放送されたのは、1966年12月18日。もう45年も前の話である。

ジャミラは、身長50メートル。体重10,000トン。異様な姿の怪獣である。実は、この怪獣は、人間。フランス人宇宙飛行士ジャミラの変わり果てた姿なのだ。フランスが宇宙開発の失敗を隠蔽するため見捨てられ、異常気象の星=水のない乾燥した星に漂着し、地球からの救援を待っている間に、こんな異様な怪獣に変貌してしまったのだ。この不祥事を隠蔽したいフランスは、宇宙飛行士ジャミラの救援には立ち上がらない。その復讐のために、地球に戻ってきて、平和会議の出席者を次々と抹殺するというお話なのである。

子供には、難しいテーマでありながら・・・ジャミラの悲しさや、ウルトラマンにジャミラが退治されていくいたたまれなさは、いまだに記憶に残っている。誰が正義で誰が悪なのか?その「答え」が出ないままに、「故郷は地球」の回は終わる。

ジャミラは、ウルトラマンが倒した唯一の地球人なのだ。
ジャミラは、人類の科学の進化の闇から生まれた鬼っ子なのだ

水のない星に漂着し、こんな異様に変貌してしまったジャミラの弱みは、なんと「水」なのである。最期は、パリ本部からの命令を受けた科学特捜隊による人工降雨弾攻撃とウルトラマンのウルトラ水流により、国際会議場の万国旗を潰しながら断末魔の叫びを発して絶命する。

子供ごころに・・・「水?」って思った。科学特捜隊のどんなハイテクでもなく、ウルトラマンのどんな高度な科学的武器でもなく、、、人類の科学の無責任な暴走を止めるのが「水」というローテクなのである。さらに付け加えると、ジャミラの最大の武器は、口から吐く100万度の高熱火炎。そして、生まれは、フランス。大人になった今だからわかるのだが・・・ジャミラのシナリオの下地になっているのは、間違いなく原子力発電のことである。今回の福島原子力発電所の暴走を止めるローテクの数々を目の当たりにした時にわいた感情は、ジャミラに立ち向かう科学特捜隊やウルトラマンとかぶるのは、これが理由だ。

ウルトラマンに倒された後、ジャミラは、立派な墓が立てられ埋葬された。墓碑銘には「人類の進化のためになくなった魂ここに眠る。」と刻まれる。しかし、その前で戦いが終わった科学特捜隊のイデ隊員は、こうつぶやく・・・

「いつだってそうだ・・・・・・言葉だけは立派だ」。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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