日本の人材がなぜ危機なのか

2009.10.30

組織・人材

日本の人材がなぜ危機なのか

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

なぜ昨今の日本に器の大きな人材が育たないのか? 尊敬できる大人が少ないのか? についてキャリア開発の観点から考えてみました。

キャリアとは何かと問われれば

「スキルと知識を習得し、仕事を通じて成長していくこと」と答える方が多いのではないでしょうか。

この答えは正しいでしょうか。もちろん、正しいです。ただし、1面的にはです。

私の考えるキャリアは2つの大きな要素からなります。それはインターナルキャリアとエクスターナルキャリアです。

■エクスターナルキャリアとは前述の例のような知識やスキル、資格や経歴などを指します。主にやり方(Do)の領域。
■インターナルキャリアとは人間力(人格、成熟した価値観、共感力、学習力、他者理解、他者受容、自己開示、主体性、思慮深さ、信頼性・・・)などを指します。主に在り方(Be)の領域。テクニックではない領域。

人材のキャリアは、この2つの要素が共に成熟することで社会性の高い人財になるのではないかと考えます。

しかし、このような視点からキャリア開発を考えてみると、私は愕然とするのです。
日本の教育や人材開発においてインターナルキャリアを向上させる場や機会が極端に少ないのです。学校でも企業でも或いは自己啓発でも極端に少ない。
本来、インターナルキャリアは、家庭、地域コミュニティ、学校や企業等の共同生活や組織活動の中で多様なストーミングを経験することで培われるものです。

昨今の政界を見ていても、経済界を見ていても、器の大きな人材が見当たりません。若者からは尊敬できる大人がいないとの声を良く聞きます。
また、企業からも経営層や管理職の器の問題が組織運営や組織力そのものを減衰させているという声を耳にすることが増えてきました。

皆さまもご承知の通り、社会的な地位や権限が大きくなればなるほど求められるのはキャリアはどちらでしょうか? 
無論、インターナルキャリアです。

部下の人心を理解できない上司、決断力も責任感もない上司、ビジョンを示せない上司、ありふれた悩みです。
しかし、日本の教育や人材開発の変革が行われなければ、さらに人材は小粒になり、社会は社会性が極端に低い人材で溢れるのではないでしょうか。

真剣にインターナルキャリアが磨かれる育成の仕組みと機会を社会的なシステムに組み込んでいく事、このテーマは急務な課題です。

政権が変わろうともこの課題は解決されません。まずは、私達一人ひとりが自己のテーマとして取り組む課題であり、自分自身のインターナルキャリアを磨くことによってしか解決できないものであると思います。

このままでは皆がエクスターナルキャリアに偏った人材になってしまう危険性があるのです。これは唯物主義や拝金主義の根底にも関連しているといっても過言ではないと思います。

これから本腰を入れてインターナルキャリアの開発に取り組みませんか。本来の人としての成長を目指して。

アクションラーニングソリューションズ 斉藤
http://www.al-s.co.jp/

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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