ロジックの領域と感覚の領域を分けすぎると哀しいですね

2009.08.01

仕事術

ロジックの領域と感覚の領域を分けすぎると哀しいですね

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

若い人にロジカルシンキングを教えたりする機会が多いですが、理屈っぽいと嫌われるとか、駄目とか、そういう意見が多いですね。自由な発想がなくなるとか。そういう言い方をする人もいます。でも、本当にそうですか?

 ロジカルシンキングは、冷たい感じがするとか、理屈っぽくて、自由な発想を阻害されるとか、そういう人もいますよね。

 実際、普段のコミュニケーションと対極的に捉える人もいます。

 でもね、本当にそうなのでしょうか?

 私が「コミュニケーション」を若い人に教える時、提示するモデルがあります。

 心の中を、抽象的な領域と、具体的な領域に分けてみます。

 抽象的な領域は言葉にならない部分。感覚的な部分。

 具体的な領域は、抽象的な感覚が言葉として具体的になっている部分。

 こういうモデルで捉えると、感覚を言葉という容器で拾うイメージですね。

 でも、言葉というのは感覚をあらわすのに、完全な容器ではない。どうしても、零れ落ちる感覚がある。

 それは確かに悲しいことです。

 でもね、その容器に入っている言葉は、他ならぬあなたの心に溢れる感情というものなのです。

 その容器をうまく形作る技術が、ある意味、言語化の能力。その言葉という容器を組み合わせて、論理を形作る技術がロジカルシンキングとして捉えられないでしょうか?

 そして、容器に一旦掬ってみると、感覚は少し性質を変えて固定化する。それを、また、抽象的な領域の感覚の海に流し込んでみる。

 そうすると、新たな感覚が沸いてくる。

 そこから、また、新たな言葉の容器が形作られて、一連のつながり、ロジックを生成する。

 今、描いているのは、インターナルコミュニケーション、自分との対話の場合ですね。

 ここに、同じモデルを持った相手を想定するとどうなるでしょう?

 言葉にならないところ、抽象的な感覚は、言葉という容器を持ってしまった、言葉に頼りすぎている人類には、直接的に伝えることはできないかもしれません。

 でもね、その抽象的な部分、感覚、感情の海をうまく言葉という容器で拾って、お互いに渡しあって、コミュニケーションを取っている。

 そこで、うまく話しがかみ合う共通の地平を作り出す時に、意外とラポール形成とか、そういうコミュニケーションスキルが重要で。

 でも、きちんと伝えていくには、外の世界にあるロジック形成のルールが大事で。

 そういうモデルで捉えた時、ロジックと感覚、感情は補いあうものだと思います。

 確かに、ロジックという容器自体は冷たいのかもしれませんよ。でもね、暖かいミルクの入った容器は暖かいですよね。

 そういう感じで、暖かい感情の海から救った心の液体は、きっと温かいもので、ロジックという容器自体を暖められるものなんじゃないかって思うんですよね。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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