『ワンマン社長は悪である』

2009.07.10

組織・人材

『ワンマン社長は悪である』

小倉 広

「トップダウンは悪、ボトムアップが善」 「イエスマンはいらない」 などなど、世の中の「常識」は嘘が多いのである。 では何が真実なのか? このうその裏側にある真実とは??? オグ流に解説します。

会議の終了間際、いつも柔和なA社長が社員へ向けつぶやきました。

「これまでトップダウンで現場の不満を無視してきました。これからは、ようやくそれを変えていく時です」

この言葉に私は深い感銘を受けました。それはボトムアップへ切り替えることに対してではなく、これまで確信犯的にトップダウンでやってきたことに対しての感銘です。
A社長は経営のウソをよくご存知だったのです。

世の中にはまことしやかなウソがたくさんはびこり、「トップダウンは悪、ボトムアップが善」などはその最たるもの。オグ流の正解はこうです。

「創業から成長期まではトップダウンでいくべし。成長期から成熟期はボトムアップを加えるべし。変革期にはトップダウンへ戻るべし」

そう、ボトムアップが善なのは成長カーブに乗り切った段階で、いよいよアクセ
ル全開のタイミングで初めて必要となるものなのです。
当然ながらこれには理由があります。

創業期の企業はあらゆる意味で脆弱で、普通のことをしていたのでは、大手に伍し勝っていくことは100%不可能。
では何が必要か?それは差別化された独自性と大手には無いスピード感です。
この2つを実現するのに最も必要なのが、トップダウン。

差別化とはある意味、非常識なアイディアです。
この非常識を信じ、惚れ込み、異端を貫くにはトップダウンしかありえない。
そしてこれをすばやいスピードで実現するのもトップダウンです。
合議制で決を採り、皆で都度悩みながら進めるのでは間に合わない。
え?それじゃあ組織はうまく行かないよ…ですって?

否、ここで言うトップダウンは軍隊式のスパルタではありません。
先述のA社長、ソフトで上品な紳士です。トツトツつぶやくように話しながらその芯は強い。

「○○でやろうよ」と提案しながら強い想いを伝え、部下は「わかりました!」と頑張ってしまうスタイル。
強い組織では、部下はいやいやトップに従うのではなくトップに心酔し自ら積極的についていくのです。
つまり、この時期必要なのは強力なトップダウンと共に、それを盲目的に信じ本気で頑張れるイエスマン達なのです。

イエスマンじゃだめだろう…ですって?
実はそれこそ二つ目の大ウソ。オグ流真実はこうです。

「イエスマンには2種類ある。保身に走り意思を持たないサラリーマン型イエスマンと、心からトップを尊敬し自分の意思でついていく一身同体型イエスマン。前者は組織を滅ぼし、後者は創業期に欠くことができない宝のような存在。そして後者は成長期に会社の大黒柱となる」

三年で三分の一の企業が潰れる過酷な創業期を乗り切る事自体そもそもクレージー。
必要なのは強力なトップとそれを信じ全力で走りぬける主体性あるイエスマン達の二人三脚なのです。
大企業の常識は、中小企業にはむしろ悪となることが多い。
経営常識のウソにはくれぐれもご注意を!

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