お守りか?カウンセリングか?社員の定着化に効果のあるもの

2008.11.24

組織・人材

お守りか?カウンセリングか?社員の定着化に効果のあるもの

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

新卒者の離職はもはや常識となっているかも知れませんが、新卒に限らず既卒中途入社者であっても、入ってすぐ辞めてしまったという例は少なくありません。どうしたものでしょう?

のっけから否定しますが、「早期退職を防ぐ絶対的方法は無い」と思っています。しかしそれゆえ早期離職防止(リテンション)は永遠の人事テーマであるとも言えます。企業側が対応できる部分と、対象者個人の性格や労働環境など、様々な要因が関わって来ますので、ここで考えるべきポイントは「企業としての対応」に絞られます。

決定的な施策は無いものの、あらゆる企業がリテンション向上を目指しているのは、早期離職が企業にとって損失だからです。採用コストの算出は難しいのですが、エージェントを使わずとも、平均100万程度はかかると考えられるのではないでしょうか。さらに総務的な費用負担、成果を出すまでの給与・・・と、人を採って、その人がリターンをもたらすまでというのは言ってみれば企業側の持ち出しになります。
可能であれば、出来得る手を様々に打ち、全方位で防止に努めることによって、早期退職によるロス防止に努めることは、管理部門、管理者の職責だと言えるでしょう。

具体的な例をお話します。
当社の顧客である、ある中小企業様です。過去3年間、新卒採用で全く早期離職が出ておりません。(結婚退職除く)そこで効果を発揮しているのが定期カウンセリングです。入社当初は新卒でもあるため、毎月カウンセリング(30分~1時間以内)を行っていましたが、時間とともに隔月、3ヶ月おき・・・と離して行き、1年後には年一回に収めました。離職が一番起き易い入社3ヶ月未満に手厚く、慣れるとともに間隔を置くことで、「慣れ」とともに定着が高まることが実証されています。
決して大きい企業ではないので、正直上長のフォローは事実上ほとんど出来ず、「放し飼い」状態と社長自らおっしゃっておられます。

ちなみに上記カウンセリング時は「今月は特に何もないです」を含めて、必ずカウンセラーが面談をします。結果10分雑談をして終わったこともありますが、それでも新参者である対象者にとって、組織への「アクセスがある」という安心感は非常に大きなものがあるのです。カウンセリング効果は直接の問題解決だけではないことがあらためて実証されたと言えるでしょう。恐らく忙しいであろう直属上司が、仕事中お義理で、「どう?何か問題ある?」(←アー・ユー・オールライト?を日本語で言ってみますた)と聞くのと、落ち着いたカウンセリングルームで、その瞬間は環境を全く変えて行うのでは、大いに受け止め方は変わってきます。
この場合カウンセラーは基本変えず、毎回同じ者が担当するようにしました。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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