サービスの価格と価値を再考する

画像: ict.wa4

2015.08.07

営業・マーケティング

サービスの価格と価値を再考する

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 いくつかの「サービス業」として分類される業界を例に、「価格」と「価値」そして、「業界相場」というものを考えてみよう。そこから見えることは・・・

 その他の業界を見てみれば、ネイル業界などはマニキュアのように家庭ではできないプロならではの「ジェルネイル」や、さらにそれに絵柄を加える場合なども相場(10分1000円換算の中価値)を上回る価格設定ができているたが、昨今はそろそろ過当競争が始まっているため、プレミアムなサービスをそのまま価格を下げて提供する「高価値戦略」への転換が始まっている。元々原材料比率が低い業界のため、固定比率をどう下げるかが課題となってくるだろう。
 マッサージ業界は元々プレミアム要素を提供しているプレイヤーがあまり見当たらなず、てもみん的なチェーン店相場の10分1000円が定着しているが、新興の単独店舗も多く進出してきて過当競争に突入つつあるため、店によっては60分3000円という大胆な価格の打ち出しをしているところも出てきた。大手チェーン以外は「グッドバリュー」に集約されそうだ。
 マンツーマンのスポーツトレーナーは市場自体まだ大きくないため、黙っていてもプレミアム価格が受け入れられている場合も少なくないが、今後は「独自のメソッドを提供する」など何らかの価値向上が求められる。それによって「高価値戦略」で差別化・生き残りを探ることとなるだろう。

 転じて、企業に勤めるビジネスパーソンの場合はどうか。
 ベースアップがあった、ボーナスが増えたと喜んでばかりはいられない。庶民には実感の伴わないこの好景気は、円安といまだ残る消費税増税の影響で実質給与は下がっている。いつまでも横並びの中価値戦略で禄を食んで安心はしていられない。また、株高に浮かれていられるのも長くはないかも知れない。ギリシャはともかく、中国の失速はアジア圏の経済に思った以上に広く影響を与えている。日本も巻き込まれでもすれば、いつぞやのリーマンショックの時のように企業は固定比率引き下げにかかってくるだろう。だからといって、黙って給与下げに甘んじるわけには行かない。
 だとすれば、同じ給与を保つために付加価値を高めて「高価値戦略」を展開するか、もっとスーパーな存在になって、給与上げも狙う「プレミアム戦略」を展開するしかない。

 どんな業種も、個人も、「相場」に安住することが許される時代ではなくなっている。「バリューライン超え」を狙うか、プレミアムな存在になるしかないのである。

(再編集・再掲載)

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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