シャープの「ロボホン」は、普及するのか?

画像: mohittzomar

 IT・エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2015」で鮮烈なデビューを果たしたシャープのロボット電話「ロボホン」が、2016年中とされている発売予定を前に大きな話題を呼んでいる。ぱっと見「かわいい!」「欲しい!」と思った人はいるようだが、本当に普及するのだろうか。そして、その普及の壁はどこになるのだろうか。

■5万台売れるには?
イノベーターの採用とアーリーアダプターが採用するか否かを分けるものは何だろうか。それには、フィリップ・コトラーの製品特性分析とプロダクトライフサイクルを組み合わせたフレームワークで解釈できる。
製品普及の初期段階(導入期)では、製品を手に入れることで実現する「中核価値」=その製品を手に入れることによって実現する中核的な便益だけで購入される。つまり、ロボホンで考えれば、「よくできたパーソナルロボット」であり、「携帯機能付き」という物理的価値そのものだ。イノベーターたちは、そのロボットの動きや、連動するケータイの機能だけで十分楽しみを見出して購入する。それが成長期になると、中核価値を実現するめに欠かせない、かつ、どのように実現できるかが分かる「実体価値」が示されることが求められるつまり、「自分にとってどう使えるか・どんな価値をもたらすか」だ。ロボホンの場合は、単にロボットと携帯がもたらすだけではない、両者が融合した価値が必要となるだろう。先に挙げたように、より楽しめたり便利になったりするアプリや、ユーザー間がロボホンを通じて独自のコミュニケーションを行えるようなコミュニティーが開設されるなどがカギではないかと思われる。それによってアーリーアダプター(目利き)が採用し、それを見たアーリーマジョリティー(初期大衆)もやがてその輪にも加わって、成長期に入って普及が加速するというわけだ。

苦境の続くシャープだが、ロボホンには「久々にシャープらしさを見た」などという賛辞の声が集まっている。ロボホンが1人でシャープを立て直すようなスーパーロボットには見えないが、シャープの意地と根性がその背後に見える気がする。普及の壁が5万台だとするなら、そのハードルを軽やかな二足歩行で飛び越えてほしいものだと思う。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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