2016年度 新卒採用を振り返る ~就活「後ろ倒し」によって何が起こったか~

画像: HRレビュー

2015.10.07

組織・人材

2016年度 新卒採用を振り返る ~就活「後ろ倒し」によって何が起こったか~

HRレビュー 編集部
株式会社ビズリーチ

多くの企業で10/1の内定式を終えたところですが、実は学生の大部分や中小・中堅企業にとって就職活動・採用活動はまだ終わっていません。2016年度、新卒採用の振り返りとして、経団連の指針「就活後ろ倒し」の影響を探ります。

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水面下での採用活動はインフォーマルかつ手間がかかるために、社員の学生時代の後輩等、コネクションがある学生を中心に展開され、その結果、事前の「水面下」採用活動の対象になる学生と、まったくアプローチされない学生との間で「就活格差」が生じたように思います。アプローチされない学生からすれば、志望企業の採用枠が知らぬ間に埋まっていくわけです。募集情報のオープン化によって「どんな企業でも受けたければ受けられる」世の中になった副作用として、大企業の競争倍率が100倍以上になるなどの「非効率性」は以前から指摘されていました。それはそれで解決しなければならない問題ではありますが、それが先祖返りして水面下の採用活動などでクローズ化することによって実現するというのは本末転倒だと思います。

売り手市場なのに就職できない可能性が増えた

16採用は景気の上昇もあり、いわゆる「売り手市場」です。つまり、学生は楽に就職できるはずでした。ところが、そう簡単にいかない状況になっています。というのも、15年度まではまず大手企業、続いて中小企業という順番で採用活動が行われており、学生は大手が終わった後に中小を受けるということができました。ところが16年度は、大手の採用が(表面的には)8月まで終わらないため、それまで学生は大手の説明会など、採用イベントに張り付き、中小にはあまり目を向けませんでした。その結果、8月に大手の採用活動がようやく終わって、まさに今、中小への就活をしているという人が多いのです。

15年度以前なら大手が終わった5月~12月(8カ月)の間に中小への就活が可能でしたが、16年度以後は9月~12月(4カ月)と半分の期間で就活せざるをえず、活動期間が短期化したことで「求人はあるのにマッチングしない」という可能性も出てきています(人材ビジネス業界を挙げてマッチングサポートしているため、杞憂に終わるかもしれませんが)。少なくとも中小と学生は迷惑を被ったといえるでしょう。

時期制限ではなく、より本質的な解決策を

以上、まだ16採用の途中ではあるのですが、現時点で見えてきたことを整理してみました。要は「採用活動後ろ倒し」、言い換えれば「採用活動の時期制限」は効果がないどころかさまざまな悪影響があったといえるということです。では、どうすればよいでしょうか。単純に時期を元に戻せばよいかというとそういうことでもないでしょう。結局、採用活動の時期制限に法的拘束力でもない限り、大手は水面下で活動するだけだということがわかりました。いっそのこと「学業を阻害しない」という目的だけを残して、時期条項は撤廃してしまってはどうかと思います。ただし、もちろんそれだけで新卒採用の問題点がすべて解決されるわけではありませんので、より本質的な解決策が必要です。

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