今のデータマイニングに必要な循環型マーケティングの理論と戦略

2012.11.05

営業・マーケティング

今のデータマイニングに必要な循環型マーケティングの理論と戦略

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「今」のビッグデータに対して「データマイニング」を実行する際には、従来の「直線型」ではない、「循環型マーケティング」の理論と戦略を前提とする必要があります。

今日は、2012年11月2日にIBM箱崎本社で行なわれた、

「ビッグデータ時代を勝ち抜くためのデータマイニング活用セミナー

に登壇された清水聰氏(慶應義塾大学教授)のお話のエッセンスを簡単にご紹介しましょう。(私見も入っている点、ご了承ください)

今までのデータマイニングが対象としてきたビッグデータとしては、

・小売業の購買履歴データ(POS)
・Webのアクセスログデータ

などがありました。これらは、基本的に「データフォーマット」が決まっていて、基本的にコード化が可能なもの。(「商品分類コード」とかが最初からあるわけです)

つまり同質で定量的なデータなものでした。データは大量だけど、データとしては扱いやすい。

一方、今のビッグデータは上記の

「同質・定量的データ」

だけでなく、コールセンターに寄せられる意見・苦情・要望等のデータ、
およびSNS上の投稿のデータといった、データフォーマットが固定しにくく、
コード化も難しい、

「異質・定性的データ」

が加わり、しかも、ユーザーのID情報などによって一人ひとりにすべてのデータが紐付けられたものです。

つまり、多様なデータが顧客単位で統合されているのが今のビッグデータ。
(私自身も実際の業務で取り組んでいますが、当然ながら、統合作業は簡単なものではありません。)

こうした、顧客単位でデータが統合されているものを

「シングルソース(のデータ)」

と専門的には呼びます。

顧客一人(シングル)ひとりが、

全ての情報・データの源(source)

となっているからですね。

さて、従来のビッグデータを対象とするデータマイニングでは、

・販売履歴データ
・Webアクセスログデータ

など、個別に存在している、ひとまとまりのデータをそれぞれ別個に分析していました。つまり、いわばデータを「縦」にだけ眺めていたということになります。

このデータマイニングは主に、新たな仮説発見を狙ったものであり、ともかくデータを回してみることで、

優良顧客(セグメント)

の発見(識別)などで成果を上げてきたわけです。

しかし、しょせん消費者行動の一部分を切り取ってみているだけなので、

セグメンテーション

を行なうのがせいぜい。

・消費者は、ある状況においてどのような反応をするのか

・どのような働きかけをすれば、こちらの期待する反応をしてくれるのか

といった消費者行動の深い理解や、予測モデルの構築には限界があったのです。

しかし、

次のページ「シングルソースデータ」

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

フォロー フォローして松尾 順の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。