ありふれた「コモディティ」にも常に革新の余地はある!

2012.09.10

営業・マーケティング

ありふれた「コモディティ」にも常に革新の余地はある!

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

コモディティ(ありふれた汎用品)でも、まだまだ革新の余地がいくらでもあることを実感させられるのが、バルミューダの高級扇風機、「グリーンファン(GreenFan)」です。

2010年に初めて登場した「グリーンファン」は、3万円を超える価格でした。2011年に発売された小型化バージョン「グリーンファンミニ」も2万円台。

それでも、「自然風」のような優しい風が評価され、飛ぶように売れました。現在も堅調に売れ続けています。

バルミューダ社長、寺尾玄氏によれば、

「高級扇風機」

を開発することは、

「理詰めの決断」

だったそうです。

具体的には、

・冷房器具は必需品である
・地球温暖化の影響で需要はますます高まるだろう
・そして、省エネが叫ばれる時代、エアコンに代わるものとして扇風機の人気はたかまるだろう

といったことが開発を決断した理由です。

昨年は、震災後の福島原発事故により電力不足が懸念され、全国的に節電が推進されたことは、同社にとってはまさに「追い風」となったようです。

さて、まるで自然風のような風が作れる

「グリーンファン」

に寺尾氏が取り組むきっかけは、取引先の工場に行った際、扇風機を工場の壁に向けて回していたのを見たことでした。

その工場では、扇風機の風を直接当てるのではなく、壁に当てて一度バウンドさせて人に当たるようにしていたのです。なぜかと聞くと、

「扇風機の風は気持ちよくないから」

という答え。

寺尾氏が研究してみると、従来の扇風機は、ファンで空気を切り取り、渦を巻く「旋回風」を前方に送り出す仕組みのため、肌に刺さるような硬さがあることがわかったのです。

これは、風の「弾丸」を受け続けているようなものと言えるかもしれませんね。
実際、従来の扇風機にずっと当たり続けていると、だんだんつらくなってくるものです。

そこで、グリーンファンでは、ファンの形状を工夫し、風がふわっと広がって「面」で人に当たるような仕組みになっています。おかげで、自然のそよ風のような心地よさを感じることができるわけです。

なお、グリーンファンには、風の心地よさに加えて、静音性、省電力性といったメリットもあったことが、高価格でも爆発的に売れた要因でしょう。

それにしても、今や扇風機なんて1,000-2,000円くらいから買えるありふれた製品、すなわち、

「コモディティ」(汎用品)

であり、ほとんど革新の余地はなさそうに思えます。

少なくとも、消費者の多くはそう考えています。

「まあ扇風機はこんなもんだろう」

と疑問を持たなくなってしまっている。

どのメーカーも大差ないと思い込んでしまっている。

言われて見れば、確かに従来の扇風機の風は気持ちよくない。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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