「振り返る自己」が楽しむ「ノスタルジック消費」

2012.08.06

営業・マーケティング

「振り返る自己」が楽しむ「ノスタルジック消費」

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

スポーツクラブNASが、 今年(2012年)8月1日に開業した「西日暮里店」には、 「元気横丁」 と呼ばれる交流スペースが最上階に設けられています。

「振り返る自己」

が得る「幸福感」を創出できる仕組みです。

理想を言えば、経験する自己、振り返る自己の両方に同時に「幸福感」を与えられるほうがいい。スポーツクラブNASでは、メインの「フィットネスサービス」を通じて、「経験する自己」に対する幸福感を与えることができるのですが、「元気横丁」を併設することで、さらに、「振り返る自己」の幸福感をも与えることを可能にしていると考えられます。

ビールやチョコレートを始めとする製品でも、しばしば、昔のパッケージデザインをあしらった

「復刻版」

が登場しますが、これは、「経験する自己」と「振り返る自己」の両方にアピールするからこそ、消費者に注目され、一定の売上を上げることができるわけです。

私は、「思いだす自己」が幸福を味わうために行なう消費のことを

「ノスタルジック消費」

と呼んでいます。すなわち、懐かしさを味わうことを第一目的に、製品やサービスを購入することが、「ノスタルジック消費」です。

そして、高齢化社会においては、

「ノスタルジック消費」

の重要性が高まると考えられます。

なぜなら、年齢を重ねると、「経験する自己」が味わうことのできる幸福感はおおむね減少していくから。体力・意欲がどうしても低下するため、楽しい経験を求めて、積極的に行動することがあまりできなくなるからです。

だからこそ、より一層、「昔は良かったなあ」という「振り返る自己」が味わえる幸福感が大事になっていく。

ですから、高齢化が進展する日本において、思いだす自己」が楽しめる「ノスタルジック消費」へのニーズはますます高まるのではないかと思うのです。

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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