『創業の精神』は過去のものではなく、現在進行形のものである。

2010.06.23

組織・人材

『創業の精神』は過去のものではなく、現在進行形のものである。

今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長

起業する際、「何を社会に提供し、何を大事にして仕事をするか」を考えたものを『創業の精神』という。その『創業の精神』を『企業理念』へ反映させているものは、社内に浸透しやすい企業理念となるであろう。

【創業の精神を受け継ぐ】

例をいくつか上げてみます。

例えば私が所属していたリクルート。
創業から7年間、事業が軌道に乗るまでは企業理念や社訓らしきものは無かったんだそうです。
あったのは正に創業の精神でした。
創業者の江副浩正氏の創業の精神はズバリ「人のやらないことをやる」です。さらに付け加えるとすれば「人のやらない方法でやる」でもあります。
その精神が、広告を集めた雑誌という発想を生み、次々とナンバー1の媒体を創り出す原動力になりました。
その創業の精神「人のやらないことをやる」「人のやらない方法でやる」という考え方が進化してコピーライトされ「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という素晴らしい社訓につながっていったというわけです。

ちなみにリクルートの現在の企業理念は
「私たちは常に社会との調和を図りながら
新しい情報価値の創造を通じて
自由で活き活きした人間社会の実現を目指す」
というものです。

これはこれで世の中に存在する意義として重要なのですが、社員に浸透し考え方に影響を与え、言動を変えていくのはどちらかと言えば「人のやらないことをやる」「人のやらない方法でやる」であり、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」のほうだと思うのですが、昨今はなかなか「人のやらないことをやる」「人のやらない方法でやる」ということも難しくなってきたのかもしれません。

もう一つの例として「ソニー」を見てみます。

ソニーの企業理念は少し前まで「新しい感動、体験、インタラクティブメディア」というものでした。
今現在は、企業理念らしき文章は出てきません。
さてそれでは「創業の精神」はなんだったのでしょうか。

昭和21年1月創業者の井深大氏が起草した原稿用紙4枚の「東京通信工業株式会社設立趣意書」はあまりにも有名です。

・自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
・技術の力で日本再建、文化向上のために活発に活動
・不当な儲け主義を廃止、内容の充実と実質的な活動に重点を置きむやみに規模の拡大を追わない
・困難でも社会的価値があり、高級技術製品を対象とし、他社の追随を絶対に許さない独自の製品化を行う

その後、コマーシャルのために「It’s a SONY」というコピーが誕生ましたが、ソニーの創業の精神に根ざした素晴らしいコピーだとボクは思っていた。

ところが、企業理念はと言えば・・・。
「新しい感動、体験、インタラクティブメディア」ですからねえ。

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今野 誠一

今野 誠一

株式会社マングローブ 代表取締役社長

組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。

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