牛丼戦争 水に落ちた犬は打て? 容赦ないゼンショーの攻撃

2009.10.25

営業・マーケティング

牛丼戦争 水に落ちた犬は打て? 容赦ないゼンショーの攻撃

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 牛丼の「すき家」のCMを見ていて、鳥肌が立ったのは筆者だけだろうか。

 「水に落ちた犬は打て」は中国の作家・思想家の魯迅(1881~1936)の言葉である。簡単に要約しよう。
 勇敢な拳闘士同士であれば、礼を尽くし、地に倒れた敵を打ちはしない。相手はみずから恥じ悔いて、再び手向かいしないか、あるいは堂々と復讐に立ち向かってくるからだ。しかし、犬は水に落としてもあっという間に何度でも挑んでくる。もう出てきて人に咬みつくことはあるまいと思うのは大きな間違いである。(『フェアプレイ』はまだ早い」・『魯迅文集3』・ちくま文庫)
 競合に敗れた同社を犬呼ばわりする主旨ではない。厳しい経済競争において、「再び手向かいしない」ことも「堂々と」リターンマッチを宣言することもない。犬ではないが、何度でも、すぐに相手に咬みつきに行くのが原則だろう。
 だとすれば、リーダーの座についたら、水に落ちた相手は「打つ」のである。それも徹底して。

 しかし、その徹底することを躊躇する気持ちも一片は涌くだろう。「ここまでやっては消費者の反感を買わないだろうか」と。しかし、ゼンショーに迷いはない。吉野家ホールディングスは今期、最終損益も赤字に転落するとの見込みを発表した。まさに水に落ちた状態である。
 何気ないCMではあるが、その苛烈さを極めた意味合いが透けて見えて、筆者は背筋が寒くなったのである。

■関連記事
<そして吉野家は中国に渡る>
http://www.insightnow.jp/article/4406

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