ケータイはどう進化するのか?

2009.08.02

営業・マーケティング

ケータイはどう進化するのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

携帯ショップ運営会社が実施したアンケート調査「携帯電話の現在・未来」の結果から、ユーザーの求めるケータイの進化のカタチを考察する。

その要素がなくとも中核価値は実現できるが、それがあることによってより魅力的になる要素を「付随機能」という。
アンケート中の回答には大きく2つのパターンがある。「プリンター機能」などは、メール、ブラウズなどの中核価値をさらに高める付随機能としてわかりやすい。
おもしろいのが、「話し相手」や「ホッカイロ機能」「蚊取り付き」だ。見事に中核価値と全く関係がない。しかし、それらを求める人もいる。ケータイは24時間いつでも自分の最短距離にある存在だ。だとすれば、生活に必須な要素を盛り込んで欲しいと考える人も存在するだろう。それが、ある人は話し相手であり、ポケットの中で手を温めてくれるカイロであり、首から提げれば蚊を寄せ付けない蚊取り線香の機能なのだ。ここは、いかにユーザーの声を拾い集めるかがキモになるということだろう。

アンケートから見えてきたユーザーが求める「携帯電話の現在・未来」。
一つは、高機能なスマートフォンの方向性。そして、それをさらに便利にする周辺の機能である。プリンタなどは内蔵ではなくとも、auのiida・G9が専用のコンパクトなプロジェクターをオプションとして発売したような形態も考えられるだろう。ケータイとパソコンとの垣根は今後ますます消失していくことは間違いない。
もう一つは、シンプルにして頑丈。そして、ユーザーが個別カスタマイズできるケータイだ。ユーザー自身が理解できないような機能は自分で取捨選択・設計して削ぎ落とすことができ、納得して持ち歩くことができる。決して壊れることなく、常に身近で活躍する自分の相棒のような存在である。それは、現在のメーカーが考えている複雑な付随機能とは別の、極めてシンプルではあるが、携帯電話と全く関係のない身近な便利機能が求められているという事実だ。相棒に何を求めるか。寒い時には手を温め、夏には蚊を追い払うなど、それはユーザーによって十人十色なので、ターゲットユーザーの分析とニーズの見極めが欠かせない。

技術の進歩によってケータイの実現可能性は大きく高まってきた。しかし、それがユーザーのニーズと乖離しないように、ユーザーの求める価値提供がなされることが、「携帯電話の現在・未来」には重要なのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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