調達購買の役割を超えて

2014.10.30

経営・マネジメント

調達購買の役割を超えて

野町 直弘
調達購買コンサルタント

ある企業でのアンダー・ザ・テーブルの開発テーマからスタートしたある製品開発、これを支援したのは調達購買部門のキーマンでした。

最近は疲労軽減のための機能性ウェアがランニングなどのスポーツ用として普及し初めています。私も何着か機能性ウェアを愛用しているところです。一方でこの「職人DARWING」は本格仕様であり、下半身用と上半身用に分かれ上半身用は作業によって3種類のタイプが用意されています。また医療用品メーカーが開発製造していることからもわかるように疲労度の軽減に関しても大きな効果(作業によって40%~50%)があることが実際の効果検証により実証されています。
プレスリリース後まだ1ヶ月しか経っていませんが建設業だけでなく様々な企業から問合せがよせられているとのことです。

この「職人DARWING」の開発については非常に興味深い裏話があります。元々「職人DARWING」の開発はある研究者のアイディアからスタートしたものです。彼らは建設作業の省人化や生産性向上を目的にして当初は建設ロボットや建設
作業をアシストするマッスル系のデバイスの開発を検討していたようです。
しかし、これらを実用化するにはまだまだ時間がかかります。そういったことからこの研究者が「アンダー・ザ・テーブル」的にボトムアップで1年前に検討をスタートしたのがタネだったのです。この研究者からアイディアを相談されたのが調達購買部門のキーマンでした。このキーマンは研究者の面白いアイディアを具現化するために研究者とタッグを組んで社内調整を進めながら製品開発を支援推進し約1年という非常に短期間で「職人DARWING」の発表にいたったということです。

アイディアを持ち開発をスタートさせた研究者も凄いですが、このアイディアを支援推進し、短期間で製品化のサポートをした調達購買マンも凄い。
このような役割を担った調達購買人材は日本企業の中でも数少ない人材と言えます。

現場人材の確保が急務の経営課題であるとは言え、自社の製品やサービスとは程遠い製品の開発を支援するだけでなく、それを短期間で成し遂げている、また拡販の為の役割まで担っている。従来の調達購買の役割を超えたことを実行しているのです。

私は従来から調達購買部門の役割はようやく「便利なコスト削減請負人」になったが、それだけではなく「自社製品やサービスの競争力強化に寄与」する役割を持つようにならなければならない、つまりこれが「イノベーション調達モデル」であるということを述べてきました。
この調達購買キーマンは「職人DARWING」を今後建設現場だけでなく製造業の工場現場や女性向けにもラインナップし、疲労軽減だけでなく人手不足の解消や疲労軽減ウェアという新しい製品市場創造を考えています。今回の疲労軽減ウェア「職人DARWING」の開発製品化は今までの調達購買部門の役割を超えた新しい調達購買の姿につながる活動であるでしょう。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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