権限移譲「鶏が先か卵が先か」という話

2013.11.13

組織・人材

権限移譲「鶏が先か卵が先か」という話

今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長

「権限委譲」ということを考える時に浮かぶ言葉は二つ。 ひとつは「鶏が先か卵が先か」という言葉。 二つ目は「無責任」という言葉である。

「鶏が先か卵か先か」とは?

社長が役員や部長がなかなか、任せられるようにならないからと、全権を自分が握り、細部まで目を光らせ自分が関わらざるを得ないとする。

往々にしてこの状態は、相当長い期間に及ぶことになる。

なぜならば、社長自身も日々努力し、経験を積み成長しているので、いつまでたっても役員や部長は頼りなく見える。

一方、役員や部長は、何とか一日も早く「権限委譲」してもらって自分たちの自由裁量で仕事ができるようにしていこうとやっきとなるが、なかなか社長が任せてくれる気配はない。

時と共に、「あ、この人は自分で何でもやりたい人なんだな」という悟りの境地にいたり「言われたことを着実やることを楽しいと思うようにしよう」という精神状態となる。

人というのもは順応の動物であり、10年も守りにまわっていると、ある日突然攻撃せよと言われても切り替えはできない。

果たして、実力が伴わないから「権限委譲」ができないのか、権限移譲をしないから実力が伴っていかないのか。

これは実に難しい問題であるが、自分の若い頃を考えると、20代から組織を任されて右往左往、四苦八苦もがきながら、見よう見まねでやってきたことで、多くのことを学び今に繋がっていると言える。

ふたつめの「無責任」というキーワードである。

これは、一言で言って「お神輿課長」や「お神輿部長」になってはいけない、という話である。

「権限委譲」というのは実に耳に聞こえのいい言葉であり、気軽に使ってしまう言葉なのであるが・・・。

権限は委譲するが、責任まで自分に無くなってしまうわけではない。

権限委譲という名のもとに、直下の部下に仕事を丸投げし、その後は状況を問うこともなく、その仕事の結果の責任まで部下に・・・という無責任な管理職も少なからずいる。

部下に乗っかっているだけの「お神輿管理職」は、権限委譲しないワンマン管理職と、どっちが罪が重いのであろうか。

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今野 誠一

今野 誠一

株式会社マングローブ 代表取締役社長

組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。

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