新年度が始まり、新しい職場や新しい役職・立場に異動された方も多いだろうが、1カ月強が過ぎ、ようやく新しい環境に慣れてきたころではないだろうか。能力を発揮し成果に結び付けていくのはこれからであろうが、新しい人間関係がうまくいかず、十分に能力を出しきれていないと感じている方も多いのではないだろうか。特に部下を持つ方は、自身よりもメンバー個々人の能力を十分に引き出していけるかどうかは死活問題である。
そもそも、自己の強みが何かでさえ、捉えきれていない人も多いのではないだろうか。強みを活かす場がなければ、強みを知ろうとする必要もないのかもしれない。
ドラッカーは「誰もが自らの強みを良く知っていると思っている。しかし、たいていは間違いである。知っているのはせいぜい弱みについてである。」と言っている。
強みを知ることが大事な出発点となるが、主観的な考察では誤った認識を持つ。このため、客観的で、かつ、定量的にとらえることができるサーベイのようなツールを使うことが有効である。
強みを活かすということが行動するということであるから、コンピテンシーのような行動特性についてとらえることができるツールであればなお良い。
強みが把握できたら、強みを中心に人事を行い、その強みの発揮を求めることが重要である。ドラッカーは、「組織の役目は、人の強みを成果に結び付け、人の弱みを中和することにある」と言っている。
人事は強みを発揮させるものでなければならないのである。
そして、弱みを仕事や成果とは関係のない個人的な欠点にしてしまう組織をつくるのである。要するに、弱みは克服するのではなく、弱みを意味のないものにするのである。
いくら有能な税理士であっても対人関係のスキルが劣っていれば、仕事を獲得することは難しい。しかし、組織の中にいて、対人関係を強みとする他のメンバーが対応し、本質的な仕事の処理を有能な税理士が行えば、組織としての成果は飛躍的に上がっていくことであろう。
先のドラッカーの言葉通り、組織が本来の機能を出し、人の強みを成果に結びつけ、人の弱みを中和したのである。
弱みを克服するな。意味のないものにせよ。そして、強みを知り、強みを活かせ。人と組織がともに成長できる確かな戦略である。
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2009.02.10
2015.01.26
松本 真治
有限会社ワースプランニング 代表取締役
人材・組織開発コンサルタント。 人材・組織の潜在力を引き出すアセスメント(サーベイ)の企画/開発/運用から本質的課題を抽出し、課題解決のための最適なソリューション(研修・教育プログラム)の設計/運営までのコンサルティング・サービスを展開中。 人/組織が本来持ち備えている力(潜在力)を引き出し、人/組織が自律的で持続的な成長を遂げていく支援をさせていただいています。