成長を遂げ続けるユニクロのこれまでの流れ、これからの動きをどう考えればいいか。金森マーケティング事務所取締役社長であり、屈指のユニクロウオッチャーの金森努さんにインタビューしてみた。
イ 一方、ユニクロは「大型店化」へと進んでいます。都市型にも数坪の小規模店と銀座店、新宿店のような大型店があるのはなぜでしょうか。
金森 もともとユニクロは規模の経済であり、規模を拡大する必要があるわけです。「規模の経済」というキーワードでいえばブラトップも一例ですね。去年300万枚を売上げて、今年は900万枚を日本中心に販売しようとしている。日本の16歳から50歳まで、約2.5人にひとりの女性をターゲットにしている。とてつもないことですよね。多く売るためにも消費者と接触し、多く集客する必要がある。接触率の上がる都市型店舗の「ついで買い」が有力。ただし「まとめ買い」がなくなったわけじゃありません。事実、カラーヴァリエーションも増えています。つまり商圏を広げ、品揃えを見せるためにも大型化がどうしても必要。だから「都市型」店舗が自然と大型化していくケースも多いはずです。
「ファッション性」を獲得するユニクロ
イ 銀座店のように、最初に出店してフロアの増床をするというようなタイプですね。今後も登場していきそうですか。
金森 そう思います。銀座店の成功を考えると、もうひとつユニクロに大きな動きがあります。それは「ファッション性」。安さ、品質、機能性を持ち合わせユニクロが次に欲しいのは「ファッション性」です。これはジル・サンダー氏との契約につながってきます。ジル・サンダー氏はユニクロのデザインに関して全アイテムをチェックするとも言っていますし、ユニクロ価格でジル・サンダー氏のデザインした服を着ることができるという。これもすごいことですね。H&M、FOREVER21などのファストファッションブランドの日本展開に対抗する意識もあるのでしょう。
イ ただ、ユニクロは出店も多いですが、閉店も多い。これからはどのようなタイプのショップが閉まっていくのでしょうか?
金森 ロードサイド店がどんどん減っていくと予測します。ファッション性を獲得しつつあるユニクロにとって、ロードサイド店を維持することに積極的になる必要性をあまり感じません。コアターゲットである20~50代の車離れが少しずつ進んでいることも要因です。逆に都市型店が増加するでしょう。駅ナカタイプの小規模店は、都市交通を利用するかたちでの集客を狙うことになります。都市部では大規模店の補完的な役割で小規模店が点在することになるでしょうね。消費者との密着度を高めるための戦略として。
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2009.02.10
2015.01.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。