「トヨタ、マス広告費3割カット」の記事背景を読み解くと…

2008.09.01

経営・マネジメント

「トヨタ、マス広告費3割カット」の記事背景を読み解くと…

寺西 隆行
(株)Z会

「トヨタ、マスメディア広告費3割カット」 こんな記事が飛び込んできました。 単なるメディアバイイングに大量の費用を投入する(投入せざるを得ない)寡占状態の代理店経由のマス広告のあり方には僕自身も大嫌いなのですが、この記事にはいろいろ複線もあるような気がしますね。

トヨタさんは巨大企業です。今やマスメディアそのものをコントロールできる圧力もあるでしょう。
であれば、世の中の状況以上に広告単価をかなり下げる交渉に成功したのかもしれません。
そこで

「これをプレスリリースに!」

とすれば、広告宣伝費の価値をそこまで把握できていない(実際広告宣伝を担当しないとなかなか分からないと思います)ユーザーからの信用を増すことが請合いですね。

余談ですが、僕の所属する会社(Z会)のような教育業界は、「そんなに広告ばかりするな!」のような声が上がりやすい業界でもありますから、マス広告費減を会社のプレスリリースに用いると、会社の製品・サービスに対する信頼感の醸成につながりやすいでしょうね。
※もっとも、売上高に占める広告宣伝費の割合は比較的小さいんですけど…。きっと今までのトヨタさんと比べるとずっと小さいと思います(苦笑)。

3.株主対策

1→2の流れは、ユーザーの信用を増すとともに、短期的な減益を心配する株主への特効薬ですね。

4.マスメディアへの更なる圧力環境を生む

「トヨタだってそうしたんだから!」
…多くの企業の経営陣から聞こえてきそうな言葉ですね、月曜日には。

マスメディアへの出稿を減らす企業が増えるでしょう。
今やインターネットがあります、マスメディア独占は崩れているんです。
マスメディアは出稿を確保できなければ当然営業に走り、更なる単価減を、特にトヨタのような大企業には逆提案するかもしれません。

プレスリリースそのものがさらに、広告単価低減圧力につながります。

5.そもそもどこかで、トヨタはインターネットマーケティングが成功している

インターネットは皆さんの使っているパソコンやWeb環境によって広告を違わせる、という技術が発展しています。
AさんとBさんが同じサイトを見ていても、AさんとBさんに表示されるバナーやテキスト広告が違うってことがフツウなんですよね。

トヨタのインターネット広告、TVや新聞ほど「多い」というイメージは受けていないかもしれませんが、我々の知らないところでユーザーに確実にリーチできる広告手法が確立されたのかもしれません。

そんないろいろなことを感じるニュースでした。

蛇足ですが、トヨタさんは巨大企業になっても、PRマインドを失わず、ある意味社員教育をしっかりしているんだろうなあ、とも感じました。
有名企業ほど「ほっといても(企業名を)知ってくれる」と思っている、先輩社員が作った「ブランド」の傘の下雨宿りしている社員が多いものなんですけどね。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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