ドサ健の教えを守らずに死んでしまったワニ

2020.03.23

組織・人材

ドサ健の教えを守らずに死んでしまったワニ

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

ツイッターで発祥し、ついにはネットニュース、テレビでまで報道された「100日後に死ぬワニ」が完結しました。感動的なエンディングで終わるかに見えたこの話。ところが今現在は批判で大炎上状態になっています。どうしたんでしょう?

・危篤の知らせで葬儀屋まで呼んじゃった
早すぎる!早すぎるんです、課金が。
ツイッター発のマンガ「100日後に死ぬワニ」は評判が評判を呼び、大人気コンテンツになりました。このタイトルこそカギで、私含め読者はこのほのぼのストーリーがどんな帰結を迎えるのが、最初から全員わかっています。

ストーリーがほのぼのであればあるほど、このタイトルは強烈に関心をひっぱる凄いものだと、伊集院光さんもラジオで画期的な構成を褒めていました。ツイッターのような無料メディアから注目を集め、それがメジャーなコンテンツとして成長していくことはネット時代ならではのサクセスストーリー。ましてファンから熱い支持を受けていた以上、感動の大団円となるはずでした。

なぜ炎上してしまったかといえば、最終回に連続して、この作品の出版、映画化、歌手いきものがかりとのコラボ動画と、これでもかというほどマネタイズ(課金)情報が発表されたからです。

早すぎる金儲けに、感動にひたったファンから猛然と批判の炎が燃え上がりました。危篤の知らせに医者だけでなく、葬儀屋さんまで用意してしまうような利きすぎる機転が批判の矛先です。

・マネタイズ批判ではない炎上理由
ツイッターのようにネット上無料でアクセスできるコンテンツは多々あります。しかし永久に無料だとしたら、作家は生きていくことができません。絵やマンガ、音楽、文章その他、あらゆる創作物はマネタイズ(課金)ができなければ生産できません。作品をそのまま売るだけでなく、スポンサーがついて支援する、2次利用などで利益が生まれることで、作者には収益がもたらされます。それを原資に作者は創作活動を継続でき、良い作品を作り続け、供給し続けることができます。

生前極貧だったゴッホは、画商の弟テオが兄の絵を売りさばき、生活を支えました。作品が何億円もの価値を呼んだのは死後。生前はそんな評価を全く受けること無く、生活に苦しんだゴッホ。課金ができなければ作家は生きられません。今回のワニも、SNSヒット作品として映画化や商業化されること自体は、恐らく大きく批判されることはなかったでしょう。

ではなぜ今炎上しているのかといえば、それはマネタイズそのものではなく、そのタイミングが最悪だったからです。

・麻雀放浪記・ドサ健の教訓
私が人生を学んだ名作映画「麻雀放浪記」で、イカサマ賽を使うおりんさん(男性)を脅迫する主人公・坊や哲に対し、もう一人の主人公・ドサ健は「おりんのグラ賽なんてみんな知ってる。自分だけが気がついて他が節穴なんて事はない」といいます。みんなわかっているのです。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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