パワハラも挨拶だった?昭和スポーツ帝国の終焉

2018.08.06

組織・人材

パワハラも挨拶だった?昭和スポーツ帝国の終焉

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

山根会長本人の登場で一気に注目度アップの日本ボクシング協会。極悪非道な独裁体制が明らかになると同時に、前至学館大学レスリング部監督、もちろん前日大アメフト部監督といった人たちが続々とやり玉に挙がっている今年。正に老害、長老支配の悪しき部分が明るみに出ることは、組織にとって、納税者にとっては良いことだといえます。一方それを見ている昭和の子供だった私は、時代という側面も感じる今日この頃です。

1.昭和スポ根マンガは全部パワハラ
本職・駄文書き、副業・人事コンサルタントである私は、いや逆だ、本職が組織管理や組織コミュニケーションの改善を図る一方、こうした駄文書きもしている私です。(自分を卑下するのは良いが、媒体まで貶すことになる切腹)講師としていろいろな公共団体や会社などで講演をして回っていますが、特にここ最近は「ハラスメント研修」のご依頼が多数きています。

そのハラスメント研修で自らの行動を顧みてもらう自己チェックなどで、こんな例題があったらどうでしょう
・父親が口答えした息子にちゃぶ台をひっくり返す
・小学生の子供を金属製スプリングで縛り付けるギプスを強要する
・右利きの子供を無理矢理左利きに改造する

すべて完全アウト。ハラスメントを越えて、児童虐待でこれまた別の社会問題になっている事象となります。しかし昭和の子供だった方ならお気付きでしょう。大ベストセラー、大ヒットマンガとなった「巨人の星」より抜粋でございます。大人気漫画の世界では、昭和の時代、こうしたハラスメントや児童虐待などが普通??に描かれていたのでした。

ちなみに巨人の星でもあしたのジョーでも「水飲んじゃダメ」「ウサギ飛び」などのトレーニングは普通にやられていました。だって私ですらやらされたもの。故・梶原一騎先生が築いた「スポ根マンガ」と呼ばれるジャンルは、漫画雑誌やテレビ漫画として超絶なヒットをし、莫大な売り上げ、ビッグビジネスとなりました。つまり、社会がこうした今ならハラスメント・犯罪行為になることを、挨拶かのように一般的なこととして受け入れていたともいえます。(今はダメですよ、ゼッタイ)

2.押し寄せる法律改正
平成29年の改正育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法成立は、単にマタハラ・セクハラを禁ずるだけでなく、企業や団体組織に、その防止措置(周知・啓発、相談窓口整備等)を講ずることを義務付けました。もはや「当事者間の問題」ではなく、対策を講じない団体そのものが責任を問われるようになったのです。

事実婚、LGBTなどあらたな価値観多様化・ダイバーシティという考え方もどんどん普及しています。「そんなのは自分に関係ない」では済まなくなったのは、法律環境までがこうした変化を後押ししいているからです。

そしてこうした動きの強力な推進力はいうまでもなくインターネットであり、SNSという武器を手にした一般人です。かつて情報発信はマスコミ以外不可能でした。新聞・テレビの全盛期である昭和の時代は、一般人はマスコミが教えてくれる情報以外、ほぼ直接入手はできません。結果として世論含め一方通行の情報の流れが標準でした。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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