家電アプライアンスの発想をITにも (後)

2010.11.29

開発秘話

家電アプライアンスの発想をITにも (後)

根井 和美

企業向けソフトウェア販売/サポートの老舗、アシストが、苦労の末、主力商品サービス、DODAI(ドダイ)を自社開発した。その開発ストーリーから、商品サービス開発の要諦を探る。

 それは、社外だけでなく、社内についても同様だ。データベース・システムの構築プロセスを知らない営業マンには、DODAIを適用することによって、データベース基盤の構築プロセスがいかに効率化できるかをわかってもらうことは容易ではなかった。また、それまであえて踏み込もうとしなかった「ハードウェア」分野に足を踏み入れることに対しても、そこまでリスクを取る必要があるのかと消極的な反応が存在したのも事実だという。

 しかし、DODAIの良さを確信していた岸和田の信念は揺らがなかった。社内関係者から挙がった疑問や懸念点について1つひとつ回答を用意し、勉強会などで理解を求めていった。

 また残りの2人のメンバーは、開発当時の苦労を次のように語った。

 「私は、他の2人と比べると万事型どおりに物事をこなすタイプなので、2人の発想力、構想力についていき、自分なりの理解をし、成果物に落とし込んだり、検証計画に落とし込んだりする部分が大変でした」(中村)



 「サーバ、ストレージ、ネットワークなど、ハードウェア構成部品についても、協力会社と“対等”に設計検討していかなくてはいけなかった点には苦労しました」(佐藤)

 専門外の分野で、アシストが主導権を握りながら協力会社とともに進めなければならないということで、やはり苦労は多かったようだ。


■顧客の反応は

 2007年5月の発表以来、すでに3年以上が経過しているが、顧客の反応はどうなのか。「アプライアンス(家電)という言葉に象徴されるように、コンピュータの世界も、テレビのように、コンセントを入れたらすぐ使えるような時代もそう遠くはないように思う。実際、DODAIというソリューションを選択されたお客様は、従来の仕様決め→事前検証→実装、というプロセスがかなり短縮されたことに満足してくださっている。『パコッと入れるだけ』の手軽さを実感いただいているようだ」

 否定的な反応はないのか、との問いに対して、「お客様の中には、自身で要件に合うシステム設計を行う役割の方がいます。家も建売住宅と、オーダーメードがありますよね。DODAIの構成はブラックボックスではなく、詳細レベルの設計も見せていますので、そういうお客様には、従来型のプロセスを採り入れながら、対応しています」、と岸和田。

■最後に

 岸和田がOracleを担当し始めた頃は、すでにOracleの知名度は高く、リレーショナル・データベースの必要性やOracleの良さを売り込む必要はほとんどなかった。加えて、日本では日本オラクルが宣伝を担当してくれるので、製品自体の良さをアピールする必要性はほどんとなかった時代である。

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