美意識から学ぶ経営

2008.07.09

経営・マネジメント

美意識から学ぶ経営

廣岡 久生

~夏休みには美術館にいって経営センスを磨こう~ 美は経営に役立ちます。役立つだけではなく、極端に言うと経営とは美そのものかもしれません。日常の生活の中にも美を感じさせるものはたくさんあります。美術鑑賞や音楽鑑賞でも良いと思います。美を感じることで、経営をみる眼を養ってみませんか。

欲求階層説で知られるマズローは、5つの欲求とは別に「審美欲求」というものについて触れています。それは「壁に曲がってかかっている絵を見てまっすぐにしたいという強い意識的衝撃(改定新版『人間性の心理学』)」と説明しています。京都の竜安寺のような手入れされた庭園を美しく感じるのはなぜかということでしょう。重ねていうと新宿よりも、表参道が落ち着くのはなぜでしょうか。それは年のせいかもしれませんがね。

やってみるとわかりますが、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は不思議と気持ちいいものです。ものを片付け、整理・整頓し、廃棄することで無駄がなくなって在庫の負担が少なくてすむ。そんなことを考えなくても、綺麗に整理整頓された状態は、誰が見ても美しいものですし居心地がよいのです。無駄なものを省くというのは自然摂理に適しています。そして人の感覚にも適しています。整理整頓された場所は居心地がよいのです。ホンダでは製造現場のつなぎ服は白色です。白ければ汚れが目立つから、あえてそうしているそうです。トヨタ系のある会社では、床を白いペンキで塗っています。そうすることで汚れを目立たせ、清掃の習慣をつけさせようとしています。

溜まっていた澱のようなものが取れると、なにかが通い出すような気になります。循環し出すということでしょうか。流れがよくなります。風水でしょうか。たとえ周囲から見るとゴチャゴチャであっても、本人に取れば整理されている状態で快適であればそれは良しでしょう。例え他の人に取ればピカソ抽象画のように見えていても、本人が美的なものを感じているならば良いのです。

ところで、学生時代に行った(行かされたというのでしょう)美術鑑賞は、なんとつまらなかったことでしょう。あの原体験がトラウマとなって、美術館など行きたくないと決め込んでいる人も多いようです。閉鎖的な空間が窮屈で、鬱陶しくってたまらなくて、抜け出して早く解放された外の空間に飛び出したかった記憶があります。どんな絵画や彫刻も眼中にありませんでした。「観てない」ではなく、「見てない」というのがポイントですかね。

いま経営分野では、“見える化(トヨタ流では視える化というらしい)”が脚光を浴びています。在庫の量や、様々な目標の達成程度を見えるようにしようという試みです。可視化できない経営の様々な面を誰しもが見えるようにしようという狙いがあります。我々は見えているようで、あまり見えていないもののようです。ライフハックなど流行のツールも「仕事」や「やるべき事」の見える化です。

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