キーエンスはなぜ飛び抜けた高収益企業なのか?第二回

画像: Seven Atoms

2008.01.30

開発秘話

キーエンスはなぜ飛び抜けた高収益企業なのか?第二回

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

営業利益率50%強、日本の製造業ではダントツの高収益を誇るキーエンス。同社はまた、30歳代で1300万超のスーパー年収でも知られる。謎に包まれた実態に迫るため同社から話を聞いた。

顧客にとっての価値はラインの生産性向上である。センサなどを導入することによって実現される効率アップこそが、顧客にとっての価値である。となれば通常の代理店営業のようにセールスマンがセンサのカタログを顧客に示し、顧客に勝手に選んでもらうようなやり方ではダメなのだ。そもそも顧客にはどのセンサを選ぶべきかを判断できないのだから。

ましてや多くの商品が世界初、業界初である。それぞれの商品がどんな機能を持っているのか、その機能をどのように使えば自社の生産性が向上するのかを、たとえ顧客サイドのエンジニアといえども的確に判断することは不可能。もとより代理店の営業マンに最適な商品提案を求めるなど土台無理な話である。

だからこそキーエンスは直販体制にこだわる。しかも営業の役割はセールスではなくコンサルティングである。と考えれば営業マンの赴く先が商談室ではなく現場であることも納得がいくだろう。

当然、同社の営業に求められる情報の密度は濃く、そのレベルは極めて高い。顧客の製品を熟知し、顧客が置かれているポジションを把握し、ラインの問題点までを的確に理解しておくことは必須である。もちろん自社商品を知り尽くしていなければ話にならない。知識の中には他社のさまざまなケーススタディも当然含まれる。

それだけの理論武装をしているからこそキーエンスの営業マンは顧客の現場で悩み相談を受けることができる。顧客が気付いていない問題を指摘し、生産性向上のために時にはセンサ導入に合わせたラインの変更提案にまで自信を持って踏み込むこともできる。

なまじの営業マンにできる芸当ではない。センサについてならいつでもセミナーを実施できるぐらいの能力を備えていればこそ可能な営業スタイルである。そうした営業マンが全国の営業所に待機し、顧客から問い合わせがあれば即応する。同じことを代理店営業で行なうのは不可能だ。

キーエンスには高収益を支える仕組みがあり、そこには優れた企画開発マンと優れた営業マンがいることがわかった。そこで次なる疑問が湧いてくる。同社では、どのようにしてそのような人材を確保し、また育成しているのだろうか。

(第二回 高収益を支える体制/全四回 - 次回へ続く)

第一回「高収益を産み出す原動力」
http://www.insightnow.jp/article/909
第三回「人を選び、人を育てる」
http://www.insightnow.jp/article/948
最終回「徹底して当たり前のことを貫く」
http://www.insightnow.jp/article/966

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